第11章 Beat! 〈朝日奈 乃愛〉
火、水、土、風…。四大元素のエレメンタル…。凄いな、ここまで一致するなんて。
『エレメンタル…』
「それがどうかしたのか」
『いや、ちょうど四人、四大元素揃ってるなぁって』
「確かにそうだけど、君は?」
『乃愛…ノア…』
「elenoah…」
『それ!良い!』
「確かに!それ良いぞ!」
「は、はいっ!」
「良いじゃないか」
『elenoah(エレノア)…』
「表記は違いますが、エレノアには光や慈悲という意味があるそうです」
『私はそれが良いと思うんだけど、皆はどう?』
周りを見回すと、皆納得しているみたいだった。よし、先輩に報告しに行こう。
『先輩、バンドメンバーとバンド名、決まりました!』
「それじゃあ、報告してくれるかな」
『はい!メンバーは、私、朝日奈 乃愛と』
「桜庭 氷」
「桜庭 炎と」
「音撃 大地と!」
「西園寺 風花…」
『私達、五人でelenoahです!』
「うん、良い名前。今日はこれで終わりだよ。気を付けて帰ってね」
『はい!』
これで、思いっきり歌えるんだ!音楽が、できる!
『改めて、elenoahの皆、宜しくね!」
「宜しく、リーダー」
『え?あたしが?』
「だな」
「おう!」
「私も…」
『分かった。私、頑張るよ!』
「うん!」
それから解散をして、取り敢えず教室に戻る事にした。豪炎寺は此処に来てくれると分かってるから。豪炎寺が来るまで寝てるかな。最近寝不足だし、ここら辺で睡眠時間確保しとかないと。睡眠モードに入ると眠くなってくる。うん…お休み〜。
「おい、あいつまた一人だぜ」
これは…夢?私が…小学生の時の…。
「可愛そうだな!俺たちが遊んでやろうぜ!」
「おう!」
『あうっ!』
嫌な時間だった。今とは違った暗い性格だった私。あっという間にいじめの対象になった。でもある時、知らない男の子がサッカーボールでいじめっ子達をやっつけてくれた。
『あの…ありがとう…』
「強くなれ」
『え…?』
「お前が強いと分かれば、皆お前をいじめなくなる」
知らない男の子がくれた言葉。「強くなれ」っていうその言葉が今の私を作ってくれた。あの時の子に、もう一度会いたい。御礼が言いたいんだ。
「…な!朝日奈!」
『うわっ…!』
「こんな所で寝てると風邪を引くぞ」
『豪炎寺か…びっくりした』
「もう六時だ。帰るぞ」
『うん』