第10章 Become! 〈天晶 瑠璃〉
「手を離せ」
「ちっ、んだよ」
ヒロト君が相手の手を掴んだ。と言うよりは握って潰そうとしてるんだけど…。
「離せよっ…ちっ…」
「ごめん。大丈夫だった?」
『うん。ありがとう』
ヒロト君の手にはドリンクがあった。もしかして買ってきてくれたのかな?
「少し休憩しようか。最初から飛ばしすぎたし。それと、はい。飲み物飲んだ方が良いと思うから」
『だね。飲みものありがとう』
「すごく楽しんでたね。コーヒーカップ」
『自分でも驚きだよ。こんなに子供みたいにはしゃぐなんて』
「次乗る所決めておこうか」
『ジェットコースター行きたい!』
「じゃあそうしようか」
さっきから私の行きたい所ばっかり言ってるけど、ヒロト君の行きたい所も私は行ってみたいな。
『次はヒロト君の行きたい所行こうよ。私はそれから』
「そうだな…。お化け屋敷とか楽しそうだよね」
お化け屋敷…。いないって信じたいたいけど、脅かし系苦手なんだよね。でも、ヒロト君も付き合ってくれたから、私もヒロト君に全力で付き合いたい!
『よし、行こう!』
「うん」
脅かし系が無いと信じて…いや、絶対あるけど…頑張るんだ!
『あ、あのさ…。服の裾、掴んでて良いかな?』
「それなら、こうした方が怖くないよ」
さり気なく腕を組んでくれた。ちょっと待って…!心臓バクバクなのバレちゃうから!
『あ、えっと…』
「行こうか」
『う、うん』
これ、脅かしてきてもパニクってるから気付かずに終わりそう…。あれ、誰か肩トントンした?後ろを振り向くと…
「うゔぉおおおおあ!」
『いやああああああ!』
「大丈夫だよ。行こう」
し、心臓止まるかと思った…。思いっきりの脅かし要素やめてよ…!冗談抜きで心臓止まるかと思った…!
『び、びっくりした。本当心臓止まるかと…』
「ゔぉえええええ!」
『きゃああああああ!』
「大丈夫、大丈夫。もう少しで出口だから」
や、やっと出口…。まじで二段重ね良くない。ダメ、ゼッタイ。
『ふえぇ…死ぬかと思った』
「結構、怖がりだね」
『脅かし系苦手でさぁ』
「それならそうと言ってくれれば」
『でも、ちょっと楽しかったし、耐性付いた!…かもしれないし…』
「あはは、それじゃあ次行こうか」
『うん!』
それから一杯いろんなアトラクションに乗った。いっぱい笑って、いっぱい叫んで、凄く楽しかった。