第10章 Become! 〈天晶 瑠璃〉
『小さい頃、思い出した?』
「うん…」
『きっといつか現れるよ。心を許せる友達が』
「そうかな」
『うん。そう言うものだよ。人間って。でもね、欲しいと思っても手に入らないものだってある』
「…」
『誰かの代わりもそう。亡くなった人は帰ってこない。だからその人の想いを背負って生きてかなきゃいけない。そうでしょ?』
「そうだね」
『だから、焦らなくて良いよ。ゆっくりで』
君は実際、何かを抱えている。私でその蟠りは取れるのかな?闇を払えるのかな?
『確かに、君との関係を考えるとは言った。でも、私を頼って駄目なんて言ってないよ』
「…!」
『それに、私は君に守られてばかりだし、たまには私もお返ししないとね。日曜日、何処か行こっか?』
「ああ。何処が良い?」
『う〜ん。遊園地デートでもしちゃう?』
「君がそれで良いなら」
『じゃあ決まりね〜。八時半に駅集合でどう?』
「良いよ」
なんか、今の関係はまだそういうのじゃないけど、もうノリがそういう感じなんだよな〜。まぁいっか。今は、意地悪しちゃおっと。
『それじゃあ、送ってくれてありがとう。日曜日ね?』
「ああ。それじゃあ」
なんだか楽しみだなぁ。ヒロト君ってどんな格好してくるんだろ。
『ただいま〜』
「お帰り!姉ちゃん!」
『琥珀!それに紫!退院おめでとう』
「うん!ねぇ姉ちゃん!日曜日休みなんだろ!遊ぼうよ〜!」
「こら琥珀!姉さんだってたまには休みたいだから休ませてあげなさい!」
『まぁまぁ…。でも、ごめんね、琥珀。日曜日はデートしてくるから』
「えっ…。姉さん…彼氏いたの?」
『冗談冗談。友達と遊園地行く約束したの。ごめんね、藍。弟達をお願いね』
「分かった。楽しんできてね」
『ありがとう。藍』
明日も部活だし、早く寝ないと。午前中の部活だった筈。
「瑠璃、日曜日の予定は?」
『友達と遊んできます。夕飯は準備しなくて大丈夫です』
「そう。そういえば友達と遊ぶなんていつぶりかしらねぇ」
『最近は余裕ができたので…』
「良いのよ。楽しんでらっしゃい」
『はい!』
日曜日に君に全てを伝えるよ。だから待ってて欲しいな。辛い時だからこそ、協力できるように。
「姉ちゃん!遊んで!」
『はいはい』
瑠璃ってヒロト君に呼ばれるの、本当はドキドキしてる。抱きしめられた時だって本当は内心バクバクだった。