第10章 Become! 〈天晶 瑠璃〉
作戦を伝え終わったと同時に予鈴が鳴る。星羅ちゃん、私は信じるよ。
『行こう、ヒロト君』
「え、でも」
『私は作戦に賛成する。そして君も賛成してくれると信じてる』
「…分かったよ」
大丈夫。きっと出来る。作戦がある日は星羅ちゃんが伝えてくれる筈だ。それまで、待つだけ。放課後は正式に部活動編成があった後、マネージャーの仕事を教えてもらった。どうやらマネージャー志望は私と星羅ちゃんだけみたい。
『頑張ろうねぇ〜。星羅ちゃん』
「うん!」
星羅ちゃんは元気を取り戻してるし、多分乃愛ちゃんの喝が効いたんだろうな。マネージャーの仕事は、体験の時に大体は教えてもらったからそこそこに小慣れた手つきでドリンクを作った。
「瑠璃ちゃん上手いね」
『うん。体験入部行ってたから』
「そうなんだ?バレエに行ってたんじゃないの?」
『ヒロト君と一緒にいる事にしたの』
「好きなんだね」
『今は言わないけどね』
「ふふ」
「そこの二人、皆にドリンク配って!」
『はい!』
皆にドリンクを配る。先輩や一年にも、配るから結構大変。
『ヒロト君、お疲れ様』
「ああ、ありがとう」
体験入部中もずっといたからかそんなに疲れは見せていないみたいだった。エイリア学園時代も厳しい特訓を積んだらしいし、これくらいじゃまだまだって感じかな。
『この後も頑張って』
「ああ、勿論さ」
その後もドリンクを配り続け、タオルも配った。結構大変だなぁ…マネージャー。甘く見てた私が悪かった…。
「今日はこれで終わりね。お疲れ様」
『はい。ありがとうございました』
「瑠璃」
『ヒロト君』
「行こうか」
『はーい』
妹達も良くなってきて今日退院の筈。藍が迎えに行ってくれるらしい。これからは攻撃の手が緩まるって星羅ちゃんが言ってた。妹の事に関しては多分大丈夫。
『妹達の事、やっぱり大丈夫。これからは大丈夫らしいから』
「それが良いよ」
『うん。それと、今日で紫と琥珀が退院するらしいんだ』
「良かったね。漸く猛攻が収まって少し安心してるよ」
『でも、まだ気は抜けない。何があるか分からないし』
本当、良くやるなぁって思うけど。星羅並みの執念だよね。
『まぁ、取り敢えずありがとう。星羅の作戦に乗ってくれて』
「君が其れ程の決意があるなら、断る訳には行かないからね」
『当たり前だよ。親友だもん』
「…」