第8章 Throw! 〈朝日奈 乃愛〉
『行こう』
「うん」
長い道を歩いて玄関の大きい扉を開けた。
「お待ちしておりました。皆様。有人様がお待ちです」
『案内、お願いします』
執事さんに案内されて、鬼道君のいる所へ向かった。
「こちらにございます」
「鬼道」
「鬼道君」
「ああ、よく来てくれた」
『星羅ちゃんは?』
「部屋にいる。こっちだ」
鬼道君に案内されて、星羅のいる部屋に案内された。
『星羅…?』
「乃愛ちゃ…」
「星羅ちゃん、大丈夫?」
「うん…」
この顔、私達に罪悪感を抱いてる。被害がきてること、分かってるんだ。
『顔を上げて、星羅』
「…」
『上げて』
虚ろな目で私達を見つめた。分かってる、辛いのは、分かってる。でも、これじゃ前に進めない。
『今から私は星羅に凄い辛い事言う。その言葉に怒ったって構わない。でも、私は星羅に聞いて欲しいから言う。だから聞いて』
「…」
『私達は星羅の流れ弾が当たったってどうだって良い。だって私達はそれを承知で側にいる。親友としてずっとやってきた。もしその事に罪悪感を感じてるなら今すぐ捨て去って!』
星羅の瞳に少しずつ光が戻ってくる。
『お父さんとお母さんが亡くなって泣きたいし、辛いのも知ってる。星羅程強く感じる事は出来ないのも、分かってる。でも、ここでメソメソ泣いて、何が変わる?あんたがやる事は、相手が間違ってる事を伝える事!此処で時が流れるのを待つ事じゃない!』
「…!」
『何も分かってないって言われたって構わない!だって事実だから!あんたの事はあんたにしか分かんない!でも、この言葉を聞いて少しでも気が変わったなら、先ずはこれからどうするかを話す事が大事なんじゃないの⁉︎』
でっかい声でこんなに連続で話したのは初めてだった。でも、言いたかった。伝えたかった。分かって貰いたかったから。
「乃愛ちゃん…。分かった。私、頑張るよ」
『そうだよ。今が星羅のその執念を見せつける時でしょ』
「…うん!乃愛ちゃんの言葉で目が覚めた。有難う」
「す、すごいな…」
「あんな風に言われたら元気出すしかないよね」
『何か言った?』
「い、いや、何も…」
まずは買ってきたものを星羅に食べさせなきゃ。
『星羅、フルーツ買ってきたから、食べて』
「うん…ありがとう」
『取り敢えず、星羅は食べながら会議に参加してよ』
「分かった」
『それじゃあ、始めよう!』