第8章 Throw! 〈朝日奈 乃愛〉
「こういう事だよ!」
その瞬間、ガタガタという音が聞こえた。
『何をするつもり…!』
「爆弾を仕掛けてやったのさ」
「くっ…」
豪炎寺が扉を開こうとするけど、開かない。まさか…突っ張り棒⁉︎
「それじゃあ、俺はこれで」
『ちょ、ちょっと!』
いきなり居なくなるなんて…。どうやって…!
「クソッ…」
『待って…人が脱出出来る出口が絶対に何処かにある筈…!』
「爆弾の制限時間は…」
『多分これだよね、残り三分…』
「急ぐぞ!」
かるた部の部室は結構新しい。何処かに何かが…。豪炎寺は棚を探している。畳は何かおかしい所は…。ん…?あそこだけ色が違う。何か…。
『んんっ…』
重いな…。何でこんなに重いんだろう。
「貸してくれ」
『うん』
制限時間は後一分…。もう時間が残ってない。ここに何かヒントがあると良いんだけど。
「これは…」
『階段が…』
「取り敢えず行くぞ!」
『うん!』
階段を死に物狂いで降りた。爆弾は多分小さいものだ。あの人は学校まで潰すつもりはない筈。
『きゃっ…』
「少し我慢してくれ」
待って…この状況は…。お、お姫様抱っこ…?
『ちょ、重いから!お、降ろして!走れるよ!』
「今は時間がない。出来るだけ遠くに逃げるぞ」
『ちょ、聞いてる⁉︎』
爆発音が聞こえた。爆風はここまで来てない。結構遠いところまで来たのかも。
『爆発…したね』
「ああ」
『そ、そうだ!重いでしょ!お、降ろして!』
「軽いなら、良いのか?」
『じょ、冗談良くないから!は、恥ずいし!』
そっと降ろしてくれた。ああもう…痩せよう。ほんと、人生何があるか分からないから…。
『あ、ありがと…』
「怪我はないか」
『う、うん。大丈夫』
「出口みたいだな」
『また、階段…』
「もう一度やるか?」
『バカ』
あんなのもう一回やられたら死ぬから!恥ずかしくて死ぬ!
『は、早く行くよ!』
「ああ」
何処に繋がってるんだろう…。鉄扉を開けると…。
『ここは…』
「裏門か」
『こんな所に繋がってたんだ』
「部室はどうなってる」
『煙が…』
かるた部の部室を見ると黒い煙が立ち上っていた。生徒や先生の声が聞こえる。慌ててるみたい。
『知らないふりしてる方が良いかもしれない』
「だな」
動機が分かった所でどうしよう…。証拠不十分で警察には掛け合ってもらえない。