第8章 Throw! 〈朝日奈 乃愛〉
『ありがとう。それじゃあ放課後に行ってみよう。どういう対応を受けるのか…』
「聞いてみる必要がありそうだな」
『うん。今日は木曜日だから今日が最初で最後のチャンス。絶対に聞き出してみせる』
「ああ」
取り敢えず、授業を受けて放課後になるのを待った。瑠璃はヒロト君に守って貰うため、サッカー部にいるらしい。私は、相手の目的の理由が知りたい。
『豪炎寺、行くよ』
「ああ」
かるた部は別個に作られたものできちんと畳が敷いてある部室だ。でもなんだか人気が無いな…。
『失礼します…』
「かかったな」
「何⁉︎」
「俺がお前達の事を知らない訳ないだろ」
『春川、先輩…だっけ…。星羅が何をしたって言うの⁉︎人を殺すなんて…!』
「良いよ、特別に教えてやるよ。俺が彼奴を、綾織家を恨んでる理由を」
『…』
「俺の祖父と父は綾織家に殺されたんだ!」
『どういう事なの…?』
「俺の祖父、春川 圭一は綾織 星羅の祖父、綾織 星一郎と同じ会社に勤めていた。ある日、出世がかかっているプロジェクトに二人は選ばれた。だが、星一郎はプロジェクトを全部自分のものとして一人だけ出世した。そのせいで祖父は自殺にまで追い込まれたんだ!」
『そんなの…星羅は関係無いでしょう⁉︎』
「いいや、まださ。父も同じ手法で潰され自殺したさ。綾織 星羅の父、綾織 星矢にな」
『おじさんが…』
「あの男の娘ともなればどういう教育を受けてるかも分からないからな。だからお前達を潰して絶望を味合わせてやるのさ!」
『星羅はそんな人じゃない!』
星羅はきっとそんな事出来ない!心が優しいあの子なら。そんな人を陥れる事、出来る筈ないんだ!
「分からないじゃないか!祖父も父も彼奴らによって殺されたんだ!」
『そんな理由で星羅のお母さんまで殺すなんて!』
「そんな理由?考えてみろよ。プロジェクトで何もしなかった臆病者と貶され、嫌な視線が身体中を突き刺すんだ。企業も大きかったから、転職先でも噂は広まる一方。耐えられるか?居場所が無いんだぞ!」
『っ…!』
確かに、居場所が無いのは辛い…。けど、星羅は違う!星羅は…!
「お前達のトップは誰だ!」
「まぁ父さんが殺されたのなら残る俺の家族はあと一人。母さんしか居ないよな?」
『随分とペラペラ喋るのね』
「そりゃ、もうこの事が喋れないからな。お前達は」
『どういう事…』