第8章 Throw! 〈朝日奈 乃愛〉
『私は良い。けど、豪炎寺や夕香ちゃんにまで何かあったら私…』
「あいつらは俺達に仕掛けても仕方がない事を分かってる。だから俺達には被害がない。これまでだって俺達には何もなかった」
『…』
「取り敢えず学校に行くぞ」
『うん…』
それからは無言だった。自分でもよく分からなくて、後少しでも豪炎寺が来るのが遅れてたら私は怪我してたし、一歩間違えば死んでいたかもしれない。学校に着いて、まずは瑠璃にさっきあった事を話してきた。
「朝日奈。今日も送って行く」
『本当に、大丈夫…なの?』
「ああ。問題ない」
『分かった…』
なんだか、体験入部に行く気にもなれなくて今日は教室で待ってる事にした。来てって言われたけど、今は盛り上がれる気分じゃない。
「朝日奈」
『あぁ…豪炎寺か…』
「大丈夫か?」
『正直、もうそろそろメンタル限界でさぁ?あはは…朝から事故とか想像もしてなかったというか』
「無理に笑わなくていい」
『っ…う…うぅ…』
今だけは抱きつくのを許して欲しかった。怖い、苦しい。そんな思いが自分を支配している。もうこれ以上何かあったら笑っていられる自信なんて無かった。
「落ち着いたか」
『うん…大分。ありがと。遅くなっちゃったね』
「いや、気にしなくて良い。帰るか」
『今日さ、スーパーで晩御飯の材料買ってかなきゃいけないんだ。寄っても良いかな』
「ああ」
リュックを背負って豪炎寺に着いて行った。私が夕香ちゃんを心配したら、相手はそれを狙うかもしれない。メソメソするのは今日で終わりにしよう。スーパーで材料も買ったし、大丈夫。切り替えるんだ。
『今日、ありがと。じゃあね』
「明日は七時半に迎えに来る」
『分かった。待ってる』
星羅、あたし達は大丈夫。切り替えるよ。だから、星羅も頑張って。私達はいつも三人で一つなんだから。間違っても自分を追い詰めたりなんかしちゃだめだよ。
ーー翌日
『おはよっ!豪炎寺!』
「その様子だと、もう大丈夫なようだな」
『うん。これからあたしがやる事は、星羅のサポート。親友として出来る事をやる。後は、星羅を狙ってる奴を突き止める!』
「そうだな」
『星羅はかるた部の先輩に仕掛けられたって言ってたよね。先ずは調べてみた方が良いんじゃないかな』
「放課後、行ってみるか?」
『着いて来てくれるの?』
「何があるか分からないからな」