第7章 Wake! 〈天晶 瑠璃〉
『まぁ良いや。今日は送ってくれてありがとう。それと、サッカー部のマネージャー。期間限定でやる事にするよ。宜しくね、ヒロト君』
「任せてよ、天晶さん」
『その天晶さんって言うのやめてよ。好きなら、時には大胆さも必要なんじゃない?』
「じゃあ、また明日、瑠璃」
『!』
ドキドキ、してない!してないから!あんな唐突に名前で呼び捨てにされるとは思ってなかった。
『ただいま〜』
「お姉ちゃん!」
「瑠璃、ご飯よ。着替えて降りてらっしゃい」
『はい!…藍、後で話があるの』
「分かった」
ご飯を食べて、部屋に戻った。私には、この兄妹全員を守れる自信はない。だから、藍に協力してほしい。後でおばさんにも言う予定だけど。
「お姉ちゃん、話って…」
『ちょっと来て』
「う、うん」
藍が机の前に座る。怒られるのかと思って緊張してるみたいだ。
『藍にお願いがあるの』
「な、何?」
『この兄妹を…守ってほしい』
「え…?」
『星羅ちゃんが何者かに狙われているらしいの』
「星羅お姉ちゃんが⁉︎」
『うん。もしかしたら、その被害は私にまで来るかもしれないんだって』
「え…」
『そして、藍、貴女達までにも被害が来ないとははっきり言えない状況下にある。だから、一緒に兄妹達を守ってほしいの』
「…分かった」
『そう言ってくれると思ってた。ありがとう』
「でも、どうして星羅お姉ちゃんが…」
『分からない』
私だってそれは分からない。考えても、パッと思いつく理由は無い。怖い…。本当にそう思う。
『私一人じゃ皆を守れる自信がないの。でも、藍と二人なら出来そうな気がする。だから頼んだよ。「お姉ちゃん」』
「や、やめてよ。でも…やれる事はやってみる」
『でも、藍自身も気を付けて』
「分かった」
『おじさんとおばさんにも伝えてくる』
「う、うん」
おじさんとおばさんも驚いていた。でも、何処か覚悟を決めていた様だった。でも、守ってみせる。何としても。何も無いのが一番良いけど…。
ーー翌日
「星羅!」
「星羅ちゃん!」
星羅ちゃんの右手首はテーピングでグルグル巻きになっていた。そして、昼休みになって入った最悪の情報。
ーー星羅ちゃんのお父さんとお母さんが、亡くなったーー
「乃愛ちゃん…」
「まさか…おじさんとおばさんが亡くなるなんて…」
「朝日奈!」
「豪炎寺…」
「瑠璃!」
『ヒロト君…』