第7章 Wake! 〈天晶 瑠璃〉
「ヒロト」
「分かってる」
『まさか、こんな事になるなんて…』
「綾織さんの方には鬼道君が付いてる。多分大丈夫だ」
『星羅ちゃん…』
「今日も、送って行くよ」
『うん…ありがとう…』
「朝日奈、気を付けろ」
「うん…」
「送って行くから教室で待っててくれ」
「ありがと、豪炎寺」
こんなの可笑しい。今のところ、私達には被害は来ていない。でも、星羅ちゃんだけ徹底的に狙われている。授業も、心配であまり集中できない。気付けば放課後になっていた。
「瑠璃、行くよ」
『うん』
サッカー部に連れてこられた。皆輝いている。凄い…。こんな所にヒロト君は居るんだね。
「マネージャー志望なんだよね」
『はい』
「それじゃあやり方を教えるから来てくれる?」
『は、はい!』
ドリンクの作り方からスコアの付け方も丁寧に教えてくれた。取り敢えず、体験入部の時は部活に集中する事にした。
「今日はこれで終わりね。来てくれてありがとう」
『は、はい』
「瑠璃。すぐに着替えてくるから待ってて」
『分かった』
「ヒロト君、彼氏なの?」
『先輩⁉︎ち、違いますよ!』
「だって呼び捨てで呼んでるから」
『あ、あはは…』
「明日も待ってるから、ぜひ来てね」
『はい!』
「瑠璃」
『ヒロト君』
彼氏…じゃない。違う違う。なんなんだろう。このモヤモヤする気持ちは。
『星羅ちゃん…きっと辛いよね』
「君が支えてあげてよ」
『うん…。そうだよね』
「…!こっちだ!」
手を引かれる。トラックが突っ込んできた。でも、一番驚愕したのは、そのトラックは“無人”だったという事。
『嘘…』
「遂に来てしまったようだ」
『っ…!何が狙いなの』
「妹さん達は⁉︎」
『…!藍!』
急いでスマホから藍に電話をかける。お願い…出て!藍!
「お姉ちゃん!」
『どうしたの、藍!』
「下校途中に紫が脚を骨折して…、琥珀は腕を…」
『そんなっ…!』
「何があったんだ!」
『紫と琥珀が…!』
「くっ…!」
『病院に行かなきゃ!』
「待って!多分この事も予測されてるんだ!気を付けないと!」
『うん!』
幸い、病院までの道のりで危険な事は無かった。急いで紫と琥珀の病室に向かった。
『紫!琥珀!』
「お姉ちゃん!」
「姉ちゃん!」
『何があったの⁉︎』
「上から、木が落ちてきて…」
「避けたつもりだったんだけど、足が挟まって…」