第7章 Wake! 〈天晶 瑠璃〉
確かに抜けてるって良く言われてるけど、そこまで…なのかな。
『というか、なんで鬼道君が私とヒロト君が友達な事知ってるの?』
「結構、鬼道君に君と話す事を話しているからね」
『あ、そういう事か』
「それと、綾織さんは手首を捻挫したそうだ」
『えっ…』
「気を付けた方が良い。何か、大きな力が動いている気がする」
『わかった』
まさか、星羅が捻挫だなんて。しっかり者の星羅が捻挫を…。
「それと、なるべく一人での行動は避けた方がいい」
『で、でも…』
「バレエスクールに向かう途中、本当に気を付けた方が良い。部活動編成前は送って行けるけど、木曜日以降は送っていけない」
『…分かった。落ち着くまで、バレエスクールには行かない』
「その方が良い」
『ちょっと先生に説明してくる』
「僕も行こう」
『良いの?』
「ああ」
先生に説明したら分かって貰えた。それまでは出来ない。でも、一番心配なのは妹達だ。私に被害が来たとして、妹達に被害が来ないかどうかはわからない。
「ねえ、天晶さん、落ち着くまでサッカー部のマネージャーにならないかな?」
『え?』
「サッカー部にいる間なら、君を守ってあげられる」
『どうして、ヒロト君は私の事をそんなに気にかけるの?』
「君が…好きだから」
『え?』
「君に、一目惚れしたんだよ」
『私に?』
「そう」
本当なの?それは、どういう意味?
『私は、君の事よく分からない』
「そう言うと思った。だから、忘れて良いよ」
『それは出来ないよ。君の気持ちを無碍には出来ない』
「…!」
『だから、これから私を好きにさせてみてよ』
「…ははっ、やっぱり面白いね。君は」
『そう?』
「ああ。勿論、言われなくてもそうするつもりだったさ」
君はよく分からない。その瞳は何を考えているのか読めない。大体の人は目を見れば分かるのに。
「君は、拒絶しないんだ」
『まぁね〜。だって席隣なのに明日から気まずくなるのは嫌だし』
「それは最もな事だ」
『でも、私に被害が来るのは良いとして、問題なのは妹や弟達にまで行かないか…』
「…」
『何があるって言うの…?それに星羅ちゃんが狙われている理由は何?』
「それは…まだ分からない」
星羅ちゃんが何故狙われているのか、それがまだ分からない。どうして、星羅ちゃんが…。いつも主張はしないタイプだから恨みを持たれる様な事は…。