第56章 Marry！〈天晶 瑠璃〉

出来ればノースリーブはご遠慮したいなぁ。別に機能性がどうとかいう話じゃなくて、個人的にあまり好きじゃないし…。

「長袖はどうかしら」
『うーん…長袖だと多分痒くなるんですよね…。出来れば遠慮したいです。後はノースリーブも』
「となれば、残るは半袖かビスチェ、それとオフショルダーね」
『ビスチェは星羅ちゃんと被ってたので、そこも無い方向ですかね…』
「そう…まぁ、二択迄は絞れたわね」
『一度、どっちも着てみてどっちが良いかを判断した方が良いかもしれませんね』
「そうね。それじゃあ、頼んでみましょうか」

取り敢えず、オフショルダーと半袖を着てみる事に。オフショルダーを着てみたけれど、やっぱり何となく締め付けられる感覚が好きじゃない。

『半袖が良いですね…』
「分かったわ。そっちを見てみましょうか」

これだけで大分経ってしまっている。着てから動作確認とか色々すると時間も直ぐに過ぎてしまう。

『あっ…！これ良いです！』
「確かに、貴方に似合いそうね」
『すみません。これ、着てみたいんですけど…』
「はい」

選んだのは、上が短めのケープみたいになっているデザインで実質半袖である。ケープ部分は透けてる素材になっていて、本体のドレスの方はビスチェだ。半袖に見える…よね？

「後ろが編み上げになっているのね」
『はい。日頃のトレーニングのお陰ですんなり入りそうです』

バレエをやっているお陰でドレスも楽に入る。背中もきちんとケアしているから、心配はいらない。

「流石ね。とても綺麗よ。瑠璃」
『これ、ヒロト君にはファーストミートにしたいですね』
「そうね。ヒロトもきっと喜ぶわ」
『はい！』

これだと、髪型は横の髪を編み込んで下にシニヨンでいい感じになるかもしれない。

「それじゃあ、これで決まりで良いかしら」
『はい！これにします』

ドレスも決めて、ヒロトの所に戻ってくると、日頃の疲れもあるのか、寝てしまっている。

「私、お手洗い行ってくるから、その間にヒロトを起こしてあげて」
『分かりました』

視力も段々悪くなってメガネを掛けているけど、かけていない頃も好きだったよ。

『おーい。ヒロトくーん』
「うん…」
『こら〜！起きろー！』

ほっぺをツンツンしてみるけど、起きてくれない。というか、絶対起きてるでしょ。

『起きてるのは分かってるんだからね』