第6章 Shine! 〈綾織 星羅〉
肉料理が運ばれてくる。そして、デザートかフルーツはショープレートの上にあるものを使う。覚えてて本当に良かった。というか緊張で本当は足ちょっと震えてるんだけど…。
「凄いな」
『え?』
「テーブルマナーがここまで完璧だとは…」
『暗記力には自信があるから』
ナプキンの内側の端で口周りを拭いた。そして最後はナプキンをわざと雑に畳むくらいが丁度いいみたいな事が本に書いてあった。そして気を抜いちゃいけないのは退出する時。退出する時も左側から。
『ありがとうございました。とても美味しかったです』
「お気に召して頂けて何よりです」
あ〜緊張した。これ、毎日でしょ?死にそう…。鬼道君は毎日やってるんだ…。凄い…。
「後で、俺の部屋に来て、今後の話し合いをしないか」
『良いの?ありがとう』
「俺が迎えに行くから、部屋で待っててくれ」
『うん。待ってる』
部屋に戻って、鬼道君が迎えに来るまで予習をやっていることにした。数学、頑張らないと。二次関数が心配だから、やっておかないと…。
コンコンコン
「いるか」
『鬼道君。うん、いるよ』
「開けるぞ」
鬼道君っていつまでゴーグルしてるんだろう…。まぁ、そこは気にしちゃいけないお約束なのかも。
「行くか」
『うん』
スマホを持って、鬼道君の部屋に行く事にした。やっぱり大きいお屋敷なだけあって、部屋も沢山…。す、凄いな…。
「しかし、大会で負ける事など承知の上で大会に臨んでいるのに、なぜそれ程大きな恨みを持っているのか…」
『私も、よくわかりません…。冷たく当たった記憶もありませんし…』
「というか、お前はそんな事出来ないだろう」
『は、はい…』
「気を付けて行動した方がいい。何を仕掛けてくるか分からない」
『ですよね。…大会、出ない方が良いのかもしれません』
「それは駄目だ」
『え?』
「約束だろう」
そうだ、鬼道君と約束したんだ。大会、見に来てほしいって。自分から言ったのに…。そうだよね。ここで諦める訳にはいかないんだ。
『…うん!もう諦めない』
「その意気だ」
『ありがとう』
「移動教室の際はなるべく二人以上で行動しろ」
『わかった』
「まぁ、今のところこんな感じだ。危険を感じたらすぐに俺じゃなくても良いから誰かを頼れ。それと明日からは俺が送って行く。サッカー部に居るわけだから、帰る時は声を掛けてくれ」