第6章 Shine! 〈綾織 星羅〉
『お、おっきいお家だね』
「まぁな。大きいだけあって部屋を持て余しているんだ。準備しておくように頼んだから、部屋も用意してある」
『あ、有難う』
すごいよ…。こんな大きいお家に一回住んでみたいとは思ったけど、泊まれるなんて思ってなかった。
「坊っちゃま、お帰りなさいませ」
「ああ、ただいま。部屋の案内を頼む」
「承知致しました」
執事さんに案内されて部屋に案内された。凄い…広い…。
「どうぞ」
『あ、有難う御座います…』
「それでは失礼します」
凄い…。取り敢えず全教科バックに詰めてきたから重かっただろうに、執事さん、軽々と運んでったよ…。ベッドもふかふか…。さ、さすが…。ん、待てよ、鬼道…有人…。もしかして、鬼道財閥⁉︎それなら辻褄が合う。鬼道財閥の息子さんだったのね。でも、そんな感じ全くしなかったな。考えていると、ノック音がした。
「失礼します。お食事の用意が出来ましたので、ご案内をさせて頂きたいのですが、準備は宜しいでしょうか」
『は、はい!お願いします』
テーブルマナーの本、中学生の時に偶々読んでて正解だった。人生って何があるか分からないな。
「こちらへ」
『有難うございます』
「落ち着かないと思うが、ゆっくりしてってくれ」
『有難う、鬼道君』
左側から席に着いて、ドリンクが来るのを待った。ドリンクが来たらナプキンを二つ折りにして膝にかける。
「あまり慌てないんだな」
『中学生の時、偶々テーブルマナーの本を読んだ事があって。人生って何があるか分からないね』
「そうだな」
スープが来た。確か、スープスプーンを使うんだよね。スープは残りの量が少なくなった時、手前に倒すか、奥に倒して飲むらしい。スプーンも咥えるのはNGというのを聞いた事がある。次は確かオードブルだ。フォークとナイフを使うらしい。これで、本読んでなかったら、私恥ずかしくて死んでた…。
「手首は大丈夫か?」
『うん。鬼道君がすぐに保健室に連れてってくれたから、それにテーピングもしてるし。本当にありがとう』
「いや、良いんだ」
ゴーグルのせいで怖く見えるけど実はとても優しい人みたい。やっぱり、人は見かけで判断しちゃいけない。鬼道君と話しているうちに魚料理が運ばれてくる。これはナイフ、フォーク、スプーンで食べる筈。というか、使用人の人も若干驚いてる。確か残りの一組で肉料理の筈。