第6章 Shine! 〈綾織 星羅〉
『あの人…私に恨みを持っているのかもしれませんね』
「もしかしたら、かるたの大会で見かけた事あるんじゃないのか」
『春川…。あっ…東京の地区大会の決勝です!あの人を見たことがある気がします。去年、あの人と勝負をして、私が勝ちました』
「もしかして、お前が圧勝したんじゃないのか?」
『そうです』
確かに、終わった後とても悔しそうにしていた。でも私とて手を抜くつもりはなかった。それは相手にとって失礼だと分かっていたから。
『私はいつだって全力で勝負してきました。手を抜く事が相手にとって失礼になる事は分かっていました』
「そうだろうな。スポーツだってそれは変わらない」
『まるで、私を潰そうとしているみたいです…』
「だろうな。お前を潰せば関東代表として出られると思っているのだろう」
そんな事やったって何も変わらない。こんなの、悲劇を生むだけだ!
『どうにかして解決できないでしょうか…』
「そうだな…。一番は顧問を呼んで訴えた方が良いが…。それでは…」
『はい、溝を大きくするだけです』
どうやったら伝わる?こんな事は間違ってるって。
「一度あいつと戦ってみた方が良いのかもしれない」
『体験入部中はサッカー部に行くことにしますが、部活動編成の時に決着をつけます』
「それが良いだろうな」
本当に鬼道君が来てなかったら本当にどうなっていた事か…。助かった。
『送ってくれてありがとう。今日は本当に有難うね』
「…なぁ、俺の家に来ないか?その手では料理するのは大変だろう」
『え…でも…』
「二回共家に送って行った時、家に電気が付いていなかったからな。両親は家にいないのだろう?」
『う、うん。そうだけど…』
「暫く家に泊まると良い。父さんも一か月は家に居ないんだ」
『で、でも、本当に良いの?食費とか…』
「ああ。構わない。俺が言った事だからな」
『有難う。それじゃあ、手が治るまでお世話になって良い?』
「勿論だ」
助かったけど…男の子の家に泊まるなんて、小学生の時次郎君のお家に泊まった時以来…。き、緊張する…。鬼道君に付いて行くけど、待って、前方におっきなお家が…。まさかこんなお家があっただなんて。知らなかった。誰が住んでるんだろう。
「ここだ」
『え?』
誰が住んでるんだろうって思ってたお屋敷が鬼道君のお家だったんだ!それにしても大きすぎませんか⁉︎