第52章 Connect!〈天晶 瑠璃〉
『お帰り、ヒロト君』
「ただいま。瑠璃も寄りたい所あるんだっけ」
『うん、こっちだよ』
バレエスクールの寮に向かった。入り口にいた警備員さんとは仲良しだったのが幸いし、結構あっさりヒロト君の入場許可を貰った。
『ここが私の部屋だよ。と言っても相部屋だから、もう一人の子と一緒だけど』
「輝夜ちゃん、だっけ」
『そうそう。一緒に頑張ってるんだよ』
説明しながら、引き出しから予備の財布を取り出した。
『よし、行こっか』
「何処に行く予定なんだい?」
『着いてからのお楽しみ!』
最初はチェルシーマーケット。お店がいっぱい並ぶ所だけど、ウィンドウショッピングだけでも結構楽しい。
『ここね。何回か来たことあるんだけど、一人じゃ寂しいから一緒にどうかなぁって』
「勿論。瑠璃が行きたいなら」
『折角アメリカに来たのに、私の我がままでごめんね』
「俺も丁度行きたいって思ってたんだ。これは割と本気で」
『あ、そうだったんだ!良かったぁ…』
ちょっと安心した。でも、こうやって二人でデートしたのって実に半年ぶりだから、内心結構バクバクだ。
『何か、嬉しいなぁ…。こうして二人でデートしたの凄い久し振りだよ』
「まぁ、半年も遠距離恋愛してたらそうなるかな」
でも、この遠距離恋愛もあと半年。半年経てば、またヒロト君の元に帰れる。
『ねぇヒロト君見て!これ可愛いよ!』
隅っこの方にあった、誰も目をかけなさそうなストラップ。私の誕生石のアクアマリンがキラキラと輝いている。
「それ、欲しいのかい?」
『はい。おいくらですか?』
「それね。本物のアクアマリンだから、ちょっとお値段張るのよ」
『うっ…』
「でも、貴方なら大切にしてくれそうだから、譲ってあげるわ」
『本当ですか⁉︎やったぁ!』
「良かったね。瑠璃」
『うん!おばさん、ありがとうございます!』
早速鞄のチャックの部分につけた。キラキラと光って、すごく綺麗。
「瑠璃の誕生石だよね」
『うん。さて、此処で問題です。基山ヒロト君の彼女さんの誕生日は何月何日でしょう?』
「3月21日」
『は、速いなぁ…!せいかーい』
「勿論、ちゃんと覚えてるよ。じゃあ、俺からの問題」
『9月16日』
「あ、分かった?」
『この流れだったらそうかなぁって。ちゃんと覚えてますよ〜』
だから、9月16日にはヒロト君に誕生日プレゼントを送った。