第52章 Connect!〈天晶 瑠璃〉
『モーニングセットAで』
頼むとすぐに朝食が出てきて、適当な席に座った。時刻はまだ8時。大分余裕があるから、ゆっくりしていても良いかもしれない。もしもの為にお金は朝食の最低限しか持ってきてないから、スられてもさして困らない。けど、嫌なものは嫌だから最新の注意を払って食べてます。
『もうすぐかな…』
ゴミを片付けて立ち上がった。邪魔にならない辺りでヒロト君を待つ事にする。暫くすると、遠くからでもわかる赤色の髪がウロウロしているのが見えた。
『ヒロト君!』
呼び掛けると、気付いてくれた様で駆け寄ってきた。
「久し振り。瑠璃」
『なんか…半年ぶりだけど、凄い身長高くなったね…』
「そうかな?自分では全然実感湧かないけど」
もう見上げる位に大きくなっていて、2年当初よりも大分伸びている。
「先に荷物を置いてきたいんだけど、良いかな?」
『勿論。それだけ大きい荷物って事は、何日間かは居るんでしょ?何処に泊まるの?』
「多分だけど、瑠璃のバレエスクールに近い所だと思うんだ」
『そうなの⁉︎それじゃあ、私の部屋にも寄って良いかな?ちょっと取ってきたい物があるんだ』
「じゃあ丁度良いね」
重そうにスーツケースを引き摺っている所を見ると、結構な日数いるのかも。そうだとしたらちょっと嬉しいかも。
『こっちにはどれくらい居るの?』
「1週間はいる心算だよ」
『そんなにいてくれるの⁉︎』
「ああ。暫くは一緒だよ」
『ねぇ、バレエ見に来ない?一週間、ずっと一人でもつまらないでしょ?』
「許可が取れたら見に行きたいな」
先生も許可を出してくれると良いなぁ。毎日の練習は大変だけど、自然ともうやめたいとは思わない。というか、出来る事に幸せを感じてる。
『今日はレッスン休みだから、一緒に遊びに行こうね!』
「だから迎えに来てくれたのか」
『うん。独断と偏見で面白そうな所選びました〜』
アメリカに来たと言ってもほぼ練習漬けで、休みの日なんて週末くらいしか無いんだけど、その間に結構輝夜ちゃんと出かけてて良かったなって思う。こうして案内出来る位にはスクール周辺の面白い所は知っている。
「よし、じゃあ荷物置いてくるよ」
『うん、行ってらっしゃい』
ヒロト君が滞在するホテルのロビーでソファーに座って待つ事にした。初日だから、あんまりお金使わなさそうな所に行こうかな。