第52章 Connect!〈天晶 瑠璃〉
『良いよ…そういうの…!』
「冗談だよ。どうかしたの?」
『声…聴きたくなっちゃった…って言ったら怒る…?』
「ううん。大歓迎」
『会いに来てくれるって…ラインくれたから…』
「うん、そっちで言う日曜日の朝には着くはずだから」
『部活は良いの?』
「ああ。休むって事は事前に伝えておいたから」
『そっか…!』
本当に来てくれるんだ。それしか頭になくて、自然と口角が上がってしまう。
『その日ね、丁度レッスン休みなの。だから、アメリカ少し案内するね!これでも少し詳しくなった方なんだよ』
「楽しみにしてる」
久しぶりに聞く。安心する声。でも実際は本人の声ではないらしい。本人に似せた声と話しているという話を聞いたことがある。でも、今週末になれば、本物の声が聞けるんだ…!
『待ってるね…ヒロト君』
「ああ」
『じゃあ、またぐっすり寝て下さい』
「そうするよ」
『バイバイ』
「ああ」
機械の声でも、十分元気を貰えた。これなら今日の夜も眠れそうだ。輝夜ちゃんはまだぐっすり眠っている。私も早く寝て、明日のレッスンに備えよう。
ーー日曜日
「おっはよー!」
『うわぁぁぁっ…!』
「朝だよ!空港に迎えにいかなくて良いの?」
『え、今何時?』
「まだ7時」
『も〜脅かさないでよ!』
「ごめんって。でも早めに準備しておいた方が良いでしょ?」
確かにそれはそうだけど…起こし方というのをもう少し考えて欲しかったかな。
『着替えるけどさ…』
「そうそう。それじゃあ、私はもう出かけてくるから!バイバーイ!」
『え、ちょ、もう出かけるの?』
「今日は近くのカフェでモーニングセット食べたいからさ。朝から出かけまーす」
『なんだ。そういう事か。じゃあ、気を付けてね』
「うん。それじゃあ、瑠璃もグッドラック!」
一丁前に英語覚えたからってすぐに使おうとするんだから。まぁでも、面白いから良いんだけどさ。
『そうだ…着替えないと!』
いつもよりちょっとオシャレして、赤の色付きリップを塗った。アメリカと日本のファッションは勿論違いはあるけれども、今回はあえて日本のファッションでいくことにした。ヒロト君と同じ雰囲気の格好が良いなって思ったから。
『よし』
宿舎を出て空港に向かった。朝ご飯は空港に行ってから適当に済まそう。ヒロト君は9時過ぎ位に到着するみたいだから、まだまだ余裕はある。