第51章 Envy!〈朝日奈 乃愛〉
『さて、帰りますか』
「そうだな」
『何個食べたのよ』
「二個しか食べてない」
二個も結構な量だぞ…?まぁいっか。さっさと帰って、夕香ちゃんを安心させてあげないと。
「そういえばそれは…」
『うーん、内緒』
クリスマスプレゼントはネタバレしたら面白くないしなぁ。もうちょっとだけ秘密にしておこう。
「あと、あの後輩」
『あーっと…あれはですね…。部活の後輩で…』
「シメとくか」
『やめんさい。あれでも良い子だからさ』
何が目的だったのか、それは良く分からないけど。いつか機会があったら聞いてみるか。
『あっ…見て!星空綺麗だよ!』
「そうだな」
『もー。もう少し反応してくれても良いと思うんだよね』
「してる。十分に」
『してないっての。あんまり塩対応すると、クリスマスプレゼント抜いちゃうよ?』
「それは困る」
もう少し構ってくれないと…拗ねるんだから。
ーークリスマス当日
「夕香。サンタさんからプレゼントが来てるぞ」
「え、ほんと?何かな!」
袋を開けると大きなぬいぐるみが出てきていた。あんまりぬいぐるみばっかり送ってるとその内部屋がぬいぐるみで埋め尽くされてそう…。
『今日はパーティするから、一緒にケーキ作ろうね』
「うん!」
今回はちょっと工夫してチョコミントにしようと思うんだけど…。チョコミントって結構好き嫌い別れるんだよね。事前に聞いてみたら、二人とも大丈夫そうだったから、多分大丈夫だと思う。お父さんは、今年もちょっと忙しくて来れないみたい。
『よし、夕香ちゃん。一緒にケーキ作ろう!』
「うん!」
スポンジは流石に買ってきたけど、クリームとかはちゃんと泡立てる。クリームを電動ミキサーで泡立てるのは最初にお手本を私が見せてから、夕香ちゃんにやってもらった。飾り付け諸々も終わって、後は夜のパーティまで冷やしておくだけ。
『終わったから、後は自由にしてて良いよ』
「うん!」
後は、こっそり買っておいたマカロンの製作に取り掛かろう。難しそうに見えるけど、案外簡単だったりする。メレンゲを泡だてまして、必要ならば着色したりする。今回はチョコレートにしよう。後はガナッシュを作って、生地を焼いた後に詰めていく。
「美味しそうだな」
『うわっ…びっくりするなぁ…もう』
「誰かにやるのか?」
『自分用でーす』
まぁ、冗談だけど。