第49章 Wound!〈天晶 瑠璃〉
「瑠璃、気にする事ないよ。瑠璃の努力の賜物だよ。私は瑠璃を信じてる」
『輝夜ちゃん。大丈夫だよ。ありがとう』
「でも、一年でこんなに成長するなんて…凄いね」
『初心者とは言えども基本知識は知ってたし、毎日此処に通ってるから』
「え、毎日?」
『うん、少しでも皆に追いつける様に』
「だからだよ…!そうだよね、そんな気がしてた!やっぱり凄いよ!瑠璃!」
『私は…今年こそ発表会に出たい。その為には自分のレベルを着実に上げていかなくちゃいけない。だから…夢中で頑張ったの。今、自分が本気になれるのは、バレエだけだから』
着替えながら自分の決意を語った。確かに、私はバレエの才能があると言われてこのスクールに入った。でも、才能一つで片付けられたくない。努力でのし上がった事を証明したい。
「瑠璃、やっぱり凄いよ…!」
『サッカーも、そうだった。全然平等なスポーツなんかじゃない。結果を信じて汗を流した人だけが一番を掴み取れる。バレエなんて著しくそれが表れてる。いつかを夢見て努力し続けた者だけがプリマの座を勝ち取れる。そうやって、子供の時に学んできた』
「私も…毎日此処に来て汗を流し続ければ…出来るかな」
『出来るよ。私達に出来ない事なんてない。一緒に…努力でのし上がろうよ…!』
「うん…!」
一緒に切磋琢磨出来るライバルがいるからこそ、私達はもっと輝ける。私は…後ろ指ばかり指して努力をしない人達なんて…絶対に気にしない。
『先生!今日もお願いします!』
「随分と気合いが入っているわね、瑠璃」
『私、イナズマジャパンのマネージャーになってから、いろんな事を学んだんです。私は、確かに先生に才能を見出されて此処に来ました。でも…才能なんて言葉で片付けたくない…。努力でプリマの座を勝ち取った事を証明したい…!』
「顔付きが、前と変わったわ」
「先生…!私も毎日此処に通って、瑠璃を追い越したい!良いですか…!」
「勿論。向上心のある生徒は大歓迎だわ」
『負けないよ。輝夜』
「絶対に追い越してやるんだから!」
ハイタッチをして誓い合った。今までのらりくらりと生きてきた。でも、高校生になってやっと熱中出来る事を見つけられた。だったら私は…。
「瑠璃、ちょっと良いかしら」
『はい』
「気合いが入っていてとても良かった。ただ、少し細かい点を見落としていたわ。指先まできちんと意識しなさい」