第48章 Begin!〈朝日奈 乃愛〉
『修也、ご飯作っちゃってる間にお風呂入っちゃったら?夕香ちゃん、沸かしてくれた?』
「うん!もう沸いてるよ!」
お疲れの様だし、今日は早めに休ませてあげた方が良いかも。
『お兄ちゃん、疲れてるみたいだからそっとしてあげてね』
「うん」
本当、春は変な人多いって聞くけど、あれって本当だったんだなぁ。
『今日は簡単に八宝菜ね』
「美味しい…!」
その内修也もお風呂から上がって、一緒に食べ始めた。
「ごちそうさま!」
『はーい』
もう既に眠そうなんですけど…。よっぽど疲れてたのかな。
『ねぇ…鬼道君の様子…どう?』
「最近、珍しく燃えている」
『星羅とは逆だな…』
「急にマネージャー辞めたしな」
『私、今日初めて知ったんだけど』
「てっきり知っているものかと」
『あの二人、なんか変…。前となんか違う。別れたっていう噂まで聞くし…。でも、私達に言わないって事は、きっと何かある。私達に言えない理由があるんだ』
進級してから色んな事が変わった。部活も…関係も。
『何か…楽しくないね…』
「色々…変わったな」
『基山君もすぐ入院して…瑠璃も一人だし。鬼道君と星羅も最近話しているとこ見てないし…』
「俺達も俺達で…色々厄介だしな」
『あの子の事?』
「どうも一回ぽっきりで折れる奴には思えない」
『いるよねぇ…そういう面倒臭いの。そこそこに頭良い高校なのに、ある意味お馬鹿さんが居て困るわ…』
「頭の良い学校には変人が集まりやすいからな」
『何しに高校来てんだか…勉強しろっての。まぁ、愚痴こぼしても仕方ないし、修也もそろそろ寝たら?疲れてるんでしょ』
「悪いな」
『ううん、食器持ってくね。おやすみ』
後ろ姿も何処かヘニョヘニョしている。新学期だし、結構疲れ溜まってるのかもね。
『瑠璃…星羅…』
なんだか…バラバラだ。新学期なのに、全然楽しくない。クラス替えがどうとかそういう事でもなくて、周りにいる人がどことなく楽しそうじゃないから。
「お姉ちゃん?」
『え、ああ、どうかした?』
「ううん、もう寝るね」
『うん、おやすみ』
私もお風呂入って早く寝よう。こんなんで私達、やっていけるのかな。…よし、ちょっと出かけてこよう。
『何がどうなってんだか…』
まずはあの女の子について対策を立てよう。あの子は恐らく男漁りが目的だ。となれば…仕事はしない可能性は高い。