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Break! 【イナズマイレブン】

第47章 FFHI Ⅹ〈綾織 星羅〉


この子は間違いなく天才だ。才能を持っている。でも、知ってる。才能を持った者はいつかその才能に苦しむと。

「いつか分かる日が来るのかなぁ」
『その為には自分の事だけじゃ駄目なんだよ。周りをよく見てあげないと。あなたにはそれが出来るはずだから』
「私に?私にはヴァイオリンしかないよ?」
『自分の心に限界をつくっちゃ駄目。あなたには推進力がある』
「すいしんりょく?」
『進む力って事』

いつか、この子は誰にも負けない位に羽ばたくんだ。力を持ってる。

「そっか…!」
『迷った時には初心に帰るのも大事かもね』
「おばあちゃんにもそれ言われたー!」
『そう…』
「お姉さんは帰らないの?」
『うーん、帰っても何もやる事無いしね』
「そっか、じゃあ歌ってよ!」

歌って、か。こういうのは乃愛ちゃん担当なんだけどなぁ。しかも凄い唐突…。

『ちょっとだけだよ』
「うん!」

久しぶりに歌った。いつも芸術選択は美術だし…日常的にそんなに音楽は関わりないからなぁ。

「お姉さん、上手じゃん」
『そうかな』
「お姉さん、名前は?」
『私は綾織 星羅』
「星羅さん、かぁ…!私は百合園 環奈!宜しくね!星羅さん!」
『うん…!』

そろそろ良い時間だし、帰ろうかな。知らない間に運転手さんからめっちゃ連絡きてるし…。そうだ、言うの忘れてた。

『バイバイ、環奈ちゃん』
「うん!ばいばーい!」

どことなく似ている。乃愛ちゃんに。才能を持ち、無邪気に笑う姿が。

「お嬢様!どちらにいらっしゃったんですか!」
『ごめんなさい。ちょっと寄り道してました』
「寄り道してましたって…」
『ごめんなさい。ご迷惑をおかけしてしまって』
「全くですよ…。私達鬼道家の召使達は貴方様の事が大好きなのです。努力を惜しまない、健気な貴方が」
『私は、思ったより沢山の人に愛されていたんですね…』

失くしてから気付くものって結構沢山あって。

「そうですよ」
『有人君のお迎えもしてるんですか?』
「有人様は大体歩いて歩いて帰ってこられる事が多いのですが、何か用事が有れば私が送迎をしております」
『そうでしたか…』
「お嬢様から何か伝言があれば私の方からお伝えしておきますが…」
『この紙を渡してくれませんか?』
「承知致しました」

紙なら簡単に伝えられる。今の状況も、気持ちも、ちゃんと。だから、気にしないで。
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