第47章 FFHI Ⅹ〈綾織 星羅〉
「入浴はいつでも出来る様にしておきましたので」
『ありがとうございます』
今まであんなに賑やかだったのが嘘みたい。日本は今パーティムードなのに、素直にはっちゃけられない自分がいる。どうしたって…私には有人君の隣にいる資格は得られないのだから。
『あひ見ての 後の心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり』
会えない辛さが一番辛いんだ。もう…君には近付けない。
〈星羅〜?何処いるの?一緒にライオコット島回ろう!〉
〈ごめんね。用事があるから先に日本に帰ってたの〉
〈えっ(o_o)そうなの⁉︎〉
〈黙っててごめんね。皆にも宜しく伝えておいて〉
〈そういう事ならオッケー。鬼道君もそっち?〉
〈ううん。私一人だけ〉
〈そっか。じゃあね〉
〈うん〉
お風呂に入ってしまおう。そしたら少しは気が楽になりそう。明日からは高校に復帰するんだ…!
ーー翌日
「星羅!世界一、おめでとう」
『ありがとう、夏未』
「あら、今日は一緒じゃないの?」
『え?ああ、うん、まぁ…』
「そういえば、皆帰ってきてないじゃない。貴方だけ帰ってきたの?」
『うん、ちょっと用事があって』
「そう」
もう少しで二期選抜のおかげで休みがくる。その間、何しようかな。出掛けるのも悪くないかも。
「起立!礼!」
『ありがとうございましたー』
あっという間に放課後。今日は部活もないし、さっさと家に帰ろう。
「お嬢様」
『ありがとうございます。わざわざ迎えにきて頂いて』
「いいえ。大丈夫ですよ」
いつも有人君と一緒に帰ってたから、なんか変な感じだ。
「着きました」
『ありがとうございます』
戻って勉強していると、ノックの音が聞こえる。
「有人様がいらっしゃってます」
『お帰り頂きましょう』
「分かりました」
此処からでも聞こえてくる、大きな声。それでも通すつもりは無いよ。私はもう君には近付かない。
「どうして…何も言ってくれないんだ…!」
『言えないよ。君を守りたいから』
君の顔見たら涙が出てきちゃう事位分かってるから。だから、見ないよ。私は、強くならなくちゃいけないんだ。これから、もう有人君の事を忘れなくちゃいけない。
「すみません。顔を見るまでは帰らないと…」
『…わかりました。通して下さい』
顔は見ない。今度こそ、此処でケリを付ける。もう、ウジウジしないって決めたんだ。