第46章 FFHI Ⅸ〈天晶 瑠璃〉
ーー翌日
今日が準決勝。生憎、私は骨折してしまったせいで病院のベッドからは動けない。
「瑠璃、絶対勝つから」
『大丈夫だよ。皆頑張って練習してきた。努力は裏切らないって皆を見て分かったから。だから…その努力を全部試合にぶつけてきてね』
「勿論さ」
ヒロト君が病室から出て行って暫くした後、そろそろ始まる時間だから、テレビを付けた。すると見覚えのある人物が映った。
『秋…ちゃん…?』
私の親戚の秋ちゃん。四月にぱったりと連絡が途絶えていたから心配していたけれど…まさか、アメリカ代表のユニコーンのマネージャーだったなんて…。
『秋ちゃん、もしかして…連絡をくれなかったのは、渡米したから…?』
高校生になる前は明電高校に来るって言ってたのに…何があったって言うの…?
「おーっと!先制点はユニコーンだ!」
皆…もしかして動揺してる…?大切な事…忘れてないと良いけど…。
『皆…頑張って…』
後半からは何かがあったのか、いきなり元のイナズマジャパンに戻っていった。そうだ、今の内にライン入れとこう。
〈準決勝が終わったら、秋ちゃんを連れて病院に来て〉
私は勝つって信じてるからこのラインを送った。負けたら…許さないんだから。これだけ信じてるんだから。行動で返してよ…?皆、信じてるからね?
「2-1でイナズマジャパンの勝利だー!」
『勝った…!勝ったんだ…!』
これで、決勝に出られるんだね…!今迄練習してきた事はやっぱり無駄じゃなかった。確かに、特訓は厳しくて辛い物だったけど、それでも皆その練習に耐えてきた。
「天晶!」
『え、円堂君…⁉︎それに秋ちゃん…』
「なぁに…?呼んだのはそっちでしょ?」
『久しぶりだね。秋ちゃん』
「うん…」
『ごめんね、ちょっと席外してくれる?」
「あ、ああ」
何故秋ちゃんがユニコーンに居るのかを聞きたかった。と言っても、大体想像付いてるけど。
『どうして…秋ちゃんがユニコーンに居るの…?』
「大体想像付いてるでしょ…?」
『まぁね〜』
「一之瀬君に言われたの。アメリカに来ないかって」
『明電高校に来るって言うから楽しみにしてたんだけど』
「雷門中で、卒業試合があった時、言われたの」
『大方、熱烈なアピール受けちゃったって所?』
「当たり」
だろうね。一之瀬君って人、聞く限り、秋ちゃんにゾッコンだったって聞いてたから。