第44章 Let’s play cards!〈櫻小路 椿姫〉
ご飯も食べ終わって部屋に戻ってきた。明日の準備をしていると、ノックの音が聞こえる。
『はーい』
「もう語尾は良いのかよ」
『あっ…忘れてた…』
「別に付けなくて良いっつの」
『あ、うん』
どうしたんだろう。明王君が部屋に来る事無かったのに。
『どうしたの?』
「いや…」
本当に珍しいな。用も無いのに来るなんて。何かあったのかな…。
『明王君…どうかしたの?何か変だよ?』
「くそっ…」
『え…』
何だか苦しそう…。それに息も荒い…。もしかして…
『明王君、熱があるでしょ』
「うっ…」
ついに倒れてしまった…。本当に苦しそう…。取り敢えずベッドまで運ばないと…。私一人じゃ無理そう…。誰か男の子は…そうだ、土方君なら…!
『よし…』
「い…くな…」
立ち上がろうとして、足を立てた瞬間に足を掴まれた。
『明王君…』
また気を失ってる…。電話だったら出てくれるかな…。
『もしもし…土方君⁉︎』
「おう、どうした、そんなに慌てて」
『明王君が大変なの!すぐ私の部屋に来て…!』
「お、おう?」
すると、数秒後直ぐに土方君がやってきた。
「おい、どうした!って…不動…!」
『私のベッドで良いから寝かせてあげて欲しいの!』
「おうよ!今の内に監督に知らせてこい!」
『うん!』
様子がおかしかったのも、熱があったから…?
『監督!明王君が!熱を出して!』
「何だと」
『今、私の部屋にいます』
「そうか…お前が看病してやれ」
『分かりました』
監督、あんまり驚いて無かったな。やっぱり…最近寒いし身体冷えちゃったとか…。
「お、戻ってきたか。不動ならベッドに寝かせておいた。監督は?」
『私が面倒見るように、って。土方君、ありがとう。運んでくれて』
「良いって事よ」
『多分、明日の練習には私と明王君は出られそうに無いから皆に言っておいてくれると嬉しいな』
「分かった。後は頼んだぜ」
『うん』
ついでに貰ってきた冷えピタと洗面器、それからタオルで看病開始!
『明王君…起きてる…?って、そんな訳ないか…』
お風呂はまだ入ってないみたいだし、身体はちゃんと拭いてあげた方が良さそうだ。
『申し訳ないけど…失礼します…』
顔を拭いてから服を捲って拭いていく。汗かいたままだと気持ち悪いだろうし、せめてこれだけでもやってあげれば楽になると思う。