第44章 Let’s play cards!〈櫻小路 椿姫〉
「うっ…」
『明王君…?』
「くそっ…」
『大丈夫…?』
「お前…」
辛そうだ。どうしてこんなになるまで無理してたんだか…。
『身体拭いてたんだけど…』
「それくらい自分でできるっ…!」
タオルを奪い取られたけど、やっぱり動けそうな感じはしなかった。
『私の事…信用無い…?』
「…!」
『やっぱり、そうだよね。…私、居ない方が良いでしょ?ここの部屋で寝てて良いから…』
「だぁ〜!お前いちいちウゼェんだよ!俺が一言でもお前の事信用してねぇ何て言ったかよ!」
『ちょ、明王君…』
「お前が何て言おうが俺はお前の隣にしかいねぇんだよ!」
意外だった。そんな事言うなんて。絶対そういう言葉言ってくれないと思ってたから。
「ゴホッゴホッ…!」
『だ、駄目だよ…寝てないと…』
「だから…隣にいろ…椿姫…」
そのまま寝てしまった。それにしても…今の言葉っ…!
『明王君…ありがとう…。ずっと隣にいるよ。君が嫌って言っても。だって、君が私の光だから』
面倒な事には基本関わりたく無いって思ってる明王君だけど、私の事を助けてくれた。ずっと一人だった私を孤独から解放してくれた。それがとっても嬉しかった。
『風邪なんて…私に移っちゃえば良いのに』
このまま、キスしちゃえば…私に移るかな…。自分からはした事ないし…そもそもキスなんて数えるくらいしかした事ない。
『明王君、私に…移して…』
そのまま柔らかな唇に自らの唇を重ねた。
『大好きだよ。明王君』
彼がどんな人物かは、私にだって全部は分からない。でも、これから知っていきたい。頼りないかもしれないし、まだまだ未熟なところもあるかもしれないけど、それでも。この人を好きって気持ちは変わらないから。
「やっほー椿姫って…あれ、不動君?」
『し〜…今熱出して寝てるの。今日は申し訳無いけど、お風呂一緒に入れないかな』
「そっか。看病頑張れ」
『うん。ありがとう』
お風呂は明日の朝、許可とって入れてもらおう。今日は、君の隣にいたいんだ。
「つ…ばき…」
ここにいるよ。心配しなくても、離れたりなんかしないから。
『おやすみ。不動君。また明日』
トランプの時、全然気付いてあげられなかった。私、一人で罰ゲームの事しか考えてなかった。だから今度は君の異変にいち早く気付ける様にもっと成長するから。だから、見守っていてね。