第5章 Light! 〈朝日奈 乃愛〉
「今日もこれで終わりだから、一年生はここまで。来てくれてありがとね」
『ありがとうございました。あ、先輩。私既に入部届出しました!』
「本当⁉︎ありがとう!」
『それじゃ、失礼します!』
「また明日ね」
今日も五時半か。帰ってご飯の準備しないとなぁ。最近お父さんとお母さんは新しいプロジェクトのために九州に行ってるからずっと一人。でも、あんまり寂しいと感じない。
「凄かったね」
『アフロディ』
「君は、恋してる瞳だね」
『ちょ、やめてよ…。必死に隠してるんだから』
「隠しておく必要なんてないじゃないか」
『ううん。気付いてもらうまで待ってるの。会って数日じゃきっと気付いてもらえないから』
「僕なら、そんな気持ちにはさせないよ」
『え…?』
「朝日奈、送って行く」
『え、あ、ありがと豪炎寺!ア、アフロディ、また明日ね…』
最後のアフロディの言葉は…どういう事なの?アフロディは…何を考えてるの?
「朝日奈、どうかしたか」
『え?あ、ううん。ないんでもない!歌、どうだった?』
「お前は、歌詞に思いを込めてるんだな」
そんなの、豪炎寺に恋してるからに決まってるじゃん。君がいるから、私はあんなに…。
『豪炎寺がいたから、気合い入っちゃった』
「冗談はやめろ」
冗談じゃ、無いんだけどな。やっぱり一筋縄じゃ無理そう。絶対好きって言わせてやるんだから。
『これからバンド編成もしなきゃいけないんだよね…。誰と一緒になるんだろ!』
「お前ならオファーがたくさん来るんじゃないか?」
『でも、どうせなら信頼できる人とバンドを組みたい。この人にならここを任せられるっていう』
「見つかるさ」
『私も豪炎寺と同じように戦ってみたい。豪炎寺がサッカーなら、私は歌で戦う』
「お互い、得意な武器でって事だな」
『うん!アフロディも…歌凄かったって言ってくれたから』
「お前は…アフロディが好きなのか?」
『好きだよ。友達として、いつも応援してくれるし、励ましてくれるし』
「そ、そうか」
『安心してよ!だからと言って豪炎寺が嫌いなんて事あるわけないでしょ?』
「そこは別に心配していない」
何だよ〜。十分皆に好かれてるって事ですか?でしょうね!あんなにカッコ良かったら嫌いな人なんてそうはいないでしょうよ!
『今日は鬼道君達と練習しないの?』
「ああ。昨日は試合もあったからな」