第5章 Light! 〈朝日奈 乃愛〉
『!…ありがとっ!』
その通りだ。私には歌っていう武器がある。豪炎寺の言葉は私に大切な事を教えてくれる。
「ここに結果張り出しておくから。後で見てね」
先生が後ろの黒板に上位三十名の結果を張り出していた。SHRが終わった後に見に行ってみると、一位はやっぱり星羅。全部満点。星羅の執念、おっそろしい…。二位は瑠璃、数学だけ一点失点。他は満点。私がいつも話している人達はやっぱりバケモノだと思う。
「こんな結果…バケモノだろ」
『だよねぇ…。本当、星羅の執念は恐ろしい…』
「大人しそうに見えるけどな」
『まじで星羅怒らせたら怖いよ。執念も半端ないし。実は燃える闘志持ってるから』
「お、恐ろしいな」
今日から通常授業だから、ちゃんと時間割の通りに持ってきている。最初の授業って事で少し緊張してたけど、まぁなんとかやっていけそうだ。でも、感じたのは昼休みが異様に短い。今迄はお弁当の時間があってそれから昼休みだったけど、食べる時間も合わせて昼休みだから凄く短く感じる。
『やぁ〜っと放課後だよ〜』
「長かったな」
『本当だよ』
「それじゃあ、行くか」
『き、緊張するんだってば。やめてよ』
「なら、やめるか」
『…それは…やだ』
豪炎寺は偶に意地悪になる。断れないのを知ってるから、そういう事言ってくるんでしょ?
『こんにちは』
「あ、君か!今日はこの中のどれかにしようと思ってるんだけどどれが良い?」
見つけたのは私が初めて聞いたボーカロイドソング。この曲、歌いたい。あわよくば伝わってしまえって思ってる。
『これが良いです!』
「もちろん!じゃあ僕達もそれで準備するから」
『はい!ありがとうございます!』
「何にしたんだ?」
『内緒!』
最初はコーラスから始まるこの歌は、明らかに告白入ってるけど、どうせ気付かないんでしょ?君は。
『〈メルト 溶けてしまいそう
好きだなんて 絶対にいえない… 〉』
もう半ば告白のつもりで言ってるけど、会って数日でこの気持ちに豪炎寺が気付くはず無い…でしょ?だからもう少し、この気持ちはあっためておくことにする。好きだって言ってもらえるまで、頑張るから。だから、気付いてよ、ばーか。今は歌でしか伝えられない臆病者だけど、いつかはちゃんと伝えたいの。ほぼ一目惚れに等しいかもしれないけど。
メルト
supercell
作詞 RYO