第39章 FFHI Ⅳ〈天晶 瑠璃〉
『ヒロト君、食べるの早い』
器を見るとご飯もおかずも綺麗に無くなってる。
「美味しかったから」
『ありがとう。頑張って作ったから』
「瑠璃。また付いてる」
『へ?』
今度はキスをするかの様にご飯粒をペロっと持っていってしまった。
『な…な…』
「美味しい」
皆の視線が痛い…。違うよ!別にイチャつきたくてイチャついてる訳じゃ…!
「監督が居なくて良かったな…」
「皆さん!響木監督から連絡があり、一回戦の相手はサウジアラビア代表、ザ・バラクーダとなりました!」
椿姫ちゃんが血相を変えて食堂にやってきた。どうやら響木監督との連絡の為席を外していたみたいだ。
「確か、俺達が中学二年の年に準決勝で負けた相手だったね。去年はその前で敗退したみたいだけど」
「今回…ザ・バラクーダは選手が大幅に変わっています。多国籍の選手になっていて…強者が集まっているそうです」
成る程…大きくフォームチェンジをして戦局を変えようって事か。
「変えようが何だろうが俺達のやる事は変わらない!勝つぞ!」
円堂君の言葉で皆が奮い立つ。でも、何か嫌な予感がした。多国籍のチーム。強者揃い。つまり…チームとしての特徴を捉えづらい。多国籍にしたのは、分析させにくくする為だ。
「瑠璃…?」
『ちゃんと、準備した方が良いよ。この試合、嫌な予感がするから』
「嫌な予感…?」
『お部屋で詳しく話すね』
「ああ」
漸く食べ終わったから食器の片付けをしてヒロト君の部屋に向かった。
『ヒロト君、いる…?』
「ああ」
『マッサージしてあげるから、ベッドに横になってくれる?』
「ありがとう」
うつ伏せに寝っ転がってもらって、マッサージを始める。
『んしょ…んっ…』
「瑠璃。さっきの嫌な予感って…」
『多国籍って事は、チームの特徴を捉えにくいんじゃないかって。今までとは違う戦術で戦ってくる可能性が大きいから…』
「確かに。一度話し合う必要がありそうだね」
『うん。無策で行くのは余りにも危険だと思う』
「明日になったら響木監督から何かあると思うし、無いとしても自分達でやっていかないと」
『そうだね……はい。おしまい。気持ち良かった?』
「ああ、凄く良かった。あとは…」
ヒロト君が起き上がって抱き締めながらキスをしてきた。いつもキスされただけで、頭の中がふわふわする。
『んん…ふぁ…ん』