第39章 FFHI Ⅳ〈天晶 瑠璃〉
「可愛い。瑠璃」
『そんな事な…ん…ちゅ…ふっ…』
「何か…俺に隠してることあるでしょ」
キスをやめて、俯いた。隠してるというか…伝えたくないと言うか…。
「良いよ。無理して言わなくても…」
『私、怖かった。私が止めなかったせいで、二度とサッカーが出来なかったどうしようって。ヒロト君から笑顔が消えちゃったらどうしようって。そうなったら…私がヒロト君から全てを奪ったことになってしまう…!』
「瑠璃…」
何で涙が出てくるの…。違う。泣きたかった訳じゃない…!
『ごめんなさい…!違うの…!泣きたい訳じゃなくて…!』
そのまま抱き締められた。温かい手が頭をポンポンとリズム良く撫でてくれた。
「ごめん。瑠璃。俺は、多分止められてもサッカーをするよ」
『…うん』
「だから、例えこの脚に限界が来たとしても、それは俺の責任なんだ。だから瑠璃が責任を感じる必要は無い」
『違うの…責任どうこうじゃなくて…一番怖いのは、君が一番好きな事ができなくなる事で…』
「瑠璃は、本当に俺が好きだね」
『え…?』
「確かに、瑠璃がバレエ出来なくなったら俺だって悲しい。だけど、瑠璃程深く感じることなんて多分出来ない。瑠璃は、本当に俺の気持ちを分かってくれてる」
『だって…彼女だから…』
「じゃあ、俺は瑠璃に誓う」
顔を上げてヒロト君の顔を見ると、真剣な眼差しをしていた。
「もう、瑠璃を悲しませる事はしない。絶対しないとは言い切れない。誰だって人は過ちを犯す者だから。それでも、俺の側にいてくれる?」
当たり前じゃないか。私はずっとヒロト君の隣にいたいよ。何があったって。
『うん…うん…!』
「じゃあ、決まり」
深いキスだった。指を絡めて、自分から吸い付きに行った。もう、大丈夫。そうだ、君が誓ってくれたから。私はもう、クヨクヨしない。
『ヒ…ロト君…ん…』
「瑠璃。約束して。もう、絶対に離れないって」
『うん。ずっとヒロト君の隣に居たい…!』
「まあ、俺が絶対に瑠璃を離さないけど」
離さなくて良い。ずっと一緒にいたい。ただそれだけ。
『えへへ…大好き。ヒロト君』
「愛してるよ。瑠璃。これだけじゃ伝えられない位、瑠璃の事凄く大事に思ってる」
知ってるよ。だって大事にされてるって分かるもん。もう、大丈夫だね。私達、また前に進めるんだね。
『一緒に…世界に行こう。ヒロト君』