第39章 FFHI Ⅳ〈天晶 瑠璃〉
逆にどれだけ体力馬鹿でも知識がなきゃスポーツは出来ない。
『今年も決勝トーナメントはライオコット島?でやるの?』
「そうみたい。中学生のFFIは一足先に終わったし、会場が中学生と被る事は無いみたいだから安心して良いって監督言ってたよ」
『まぁ普通に考えたらそうだよねぇ』
中学生のFFIが行われるのは聞いてたけど、いつ終わったのかとかよく分からなかった。でも星羅ちゃんが言ってるようにもう終わったみたいだ。
「あ、瑠璃ちゃん。もうそろそろ10時になるから行こっか」
『うん。乃愛ちゃん、椿姫ちゃん、宜しくね』
「任せて!お昼ご飯は頼んだよ」
「頑張ってね、二人とも」
『はーい』
グラウンドの方は乃愛ちゃん達に任せて大丈夫だろう。
「さて、始めよっか」
『担当どうする?今日の昼食は親子丼にほうれん草の胡麻和え…それから清汁にデザートがわらび餅だって』
「じゃあ私が親子丼とわらび餅やるね」
『私残りの二つね』
「うん。お願い」
まずは出汁を取るために昆布をつけておいて、ついでにほうれん草も一緒に茹でる。あとは先に材料を全部切ってしまおう。
「ねぇ…瑠璃ちゃん」
『ん?』
「瑠璃ちゃん達って…最近エッチしてる…?」
『ん“ん“っ…!ゲホンゲホンっ…!』
「ご、ごめん…!大丈夫⁉︎」
『だ、大丈夫大丈夫…!でも、いきなりどうしたの?』
「私の見当違いなら良いんだけど…瑠璃ちゃん、基山君に遠慮して無いかなって…」
『…』
そりゃ、遠慮しちゃうよ。だって無理して欲しくないもの。
「何か…あったの…?」
『誰にも…言わないでね。ヒロト君は…ヒロト君は本当はサッカーやっちゃいけないの…!』
「え…?」
『ドクターストップがかかってるの。だけど、どうしてもFFHIに出たいから…無理して…』
「そっか…でも、きっと基山君は遠慮して欲しく無いと思うよ」
怖いの。私が止めなかったせいで悪化したらどうしよう。二度とサッカー出来なくなったらどうしよう。ヒロト君から本当の笑顔が消えたらどうしようって。
「それを…ちゃんと基山君に伝えた方が良いんじゃ無いかな」
『伝えた所で…どうなるの…?それじゃ偽善者面したぶりっ子と変わりないよ…』
「偽善者って意味、ちゃんと解ってる?瑠璃ちゃん」
『え…?』
「偽善っていうのは、そんな単調な言葉じゃないよ」
何処か怒っている様にも見える瞳だ。