第39章 FFHI Ⅳ〈天晶 瑠璃〉
「じゃあ先に行ってるよ」
『うん。後でね』
手を振って乃愛ちゃん達の所へ向かった。
『乃愛ちゃん、星羅ちゃん、椿姫ちゃん。仕入れ終わりそう?』
「うん。あともうちょっと!」
『何か手伝える事ある?』
「おばさんからキャベツ貰ってきて〜!」
『はーい!』
野菜を持ってきてくれる叔母さんの所に行って、ダンボールいっぱいに入ったキャベツを持ってくる。でも流石に重い…。ヒロト君、行っちゃったしなぁ…。
「僕、持とうか?」
『吹雪君?』
「これでも男だから、多少重いのなら運べるよ」
『本当?でも皆集まってるんじゃないかな』
「大丈夫だよ。あと5分くらいならあるから」
『早く行ったほうが良いよ!私達の事より君達の方が大事なんだから!なんなら彼処に荷台あるし。大丈夫だよ』
「そう?」
『うん、ほら、早くしないと監督怒っちゃうよ!』
「あはは、ありがとう」
笑いながら駆けていく所を見ると、なんだかナヨナヨしてるなぁとは思うけど、ストライカーとしても活躍してたもんなぁ。
「瑠璃、ありがと。私達も行こっか」
『うん!』
急いで必要なものを持ってグラウンドへ向かった。皆準備運動を始めている。私達はバインダーに紙をセットして、今日の練習の様子とか、シュート何本打って、その内何本入ったとかって事を記録する。
「私達は10時になったらお昼ご飯作りだね」
『今日の当番は…私と星羅ちゃん?』
「うん、そうだよ」
『あの量だと多分山盛りになるよねぇ…』
「あはは…」
一応女子の嗜みとして料理はそれなりに出来る。おばさんの手伝いを毎日してるから、レパートリーはそこそこにあるはず…!
「やっぱ、初日なだけあって皆やる気満々だね」
「第一回のFFIの時は、久遠監督って人だったんだって。今は中学生を久遠監督が見てるらしいよ」
『へぇ〜』
「その時、最初は合宿場から一歩も出ちゃだめって言われてたみたい」
『何で?』
「ボックスロックディフェンスっていう必殺タクティクスに対抗させる為だったんだって」
「それって…確か部屋みたいに四方を囲むディフェンスでしょ?」
「そうだよ。だから部屋で練習させたかったんじゃないかな」
『凄い…やっぱり自分で考えろって事なんだろうね』
今までは与えられた知識をそのままテストに書くだけ。でも、スポーツは違う。いくら知識があっても出来なきゃ意味がない。