第39章 FFHI Ⅳ〈天晶 瑠璃〉
今日からFFHIの練習が始まる。荷物を持って選手より少し早めに宿舎へ向かった。
『おはよう。星羅ちゃん。乃愛ちゃん』
「お、やっと来た。さ、準備始めよ」
『うん』
先ずは自分達の荷物を其々の部屋に置く。部屋は一人一部屋だから相部屋になる事はない。
『始まるんだ…』
「瑠璃〜!いくよ!」
『うん!』
筆記用具だけ持って準備に向かった。スコアボードや必要な紙の印刷。ジャージに着替えて、髪をお団子に纏めた。
「乃愛ちゃん、瑠璃ちゃん。そろそろ選手が集まる頃じゃないかな」
『そうだね。行こっか』
入り口まで戻ると、16人全員集まっていた。案内してあげないと。
「おはようございます。まずは荷物を置いて、グラウンドに集合して下さい」
『部屋は201号室から220号室は二階。301号室から306号室は3階です。マネージャー達は4階にいるので、何かあれば来て下さいね〜』
「此処に鍵並べてあるから、自分の部屋の鍵を取ってさっさと行く事。前で固まらないように協力宜しくね」
皆が荷物を置いている間にドリンクを作ってクーラーボックスに詰めた。クーラーボックスを担いで行こうとすると、
「瑠璃。持つよ。重いでしょ」
『ヒロト君。大丈夫だよ。マネージャーの仕事だし…』
「良いから。こういう重いのは俺達に任せて」
『じゃあ、お願いしちゃおうかな。その代わりタオル持つね』
「ああ」
重いクーラーボックスをひょいっと担いで持っていってくれる。こういう所見ると男の子っぽいなぁと思う。
『ありがとう。ヒロト君。此処まで運んでくれれば大丈夫』
「じゃあ此処に置いておくから。また運んで欲しかったら言って」
『うん。はい、タオル』
「ありがとう、瑠璃」
「朝からアツアツなこってぇ…」
『そんな事言って、椿姫ちゃんにベタ惚れなんでしょ?不動君』
「うるっせぇよ!」
「最近丸くなったしね」
顔真っ赤にして言っても何にも説得力無いんだけどなぁ…。
『ちゃんと椿姫ちゃんを労ってあげなきゃだめだよ。不動君。女の子は繊細なんだから』
「んなこたぁ言われなくても分かってんだよ!」
「まぁまぁ、そこら辺にして、皆集まってきたし」
『本当だ。そろそろ練習始まるから、準備よろしくね。ヒロト君』
「ああ。他に何かやる事は?」
『大丈夫大丈夫〜。それ以上やられると仕事なくなっちゃうからね〜』