第38章 Valentine!〈朝日奈 乃愛〉£
『確かに美味しくは無いけど…でも、嬉しいの』
「?」
『理由は…分かんない!でも…嬉しいって思った』
「そうか」
FFHIが始まったらきっと満足にエッチは出来ないし、スキンシップも出来なくなる。だから今日くらいハメ外させても良いかな。
『今日はいっぱい激しくされても…許す。でも、今度は顔見ながらやりたい…』
「ああ。次はそうする」
湯船に浸かりながら、後ろから抱きしめられる。体温が肌と肌を通して伝わってくる。これからも、ずっと一緒だから。君の側にいるよ。
『ずっと…一番近くで修也の事見てるから。だから何かあったら頼ってね』
「勿論だ」
『大好き。修也』
これから世界大会が始まって、少なからず怪我をする人も出てくる。FWなんて特に相手のDFからやられて足をやってしまうって事も考えられる。
「心配か?」
『当たり前だよ。だって…自分の一番大好きで大切な人が、怪我したら厭だもん…!』
「怪我をしない様に最高のプレーをするのが俺たちの仕事だ」
『そんな簡単に言うけどっ!星羅だって…瑠璃だって…』
「…大丈夫だ。信じてくれ、乃愛。お前が信じてくれなきゃ120%のプレーが出来ない」
『分かってる…分かってるの…。信じなきゃ…いけないって。でも…怖いのも事実だからっ!マネージャーの私じゃ何も出来ない事だって沢山あるし…』
「反対にお前にしか出来ない事がある。それは何だか分かるか」
『分かんない…』
「俺達が間違った方向に行こうとしてるのを止める事だ。それは強い意志と発言力を持ち、常に相手を労る気持ちがある…お前にしか出来ない事だ」
私にしか…出来ない事。私の人格にしか出来ない事。君が此処まで言うなら信じるしかなくなっちゃうじゃ無いか。
『信じる…。修也の事、信じてるから。私の事そんなに信じてくれる君に、少しでもこの気持ちを返していきたい。だから、約束』
体勢を変えて修也に抱き着いた。涙が出てきたから…こんな顔見られたく無い。明日からせっかく練習が始まるのに…こんな顔して士気を落としたらマネージャー失格だ。
「ああ、約束だ」
『うん……もうちょいこのままでいて…?』
若干鼻声になりながらもそう告げた。もう、大丈夫。絶対泣かない。FFHIが終わるまでは、絶対に。これは私の意地だ。もう…涙は見せないって決めたんだから。
『うん…大丈夫!明日から私も頑張るから!』