第38章 Valentine！〈朝日奈 乃愛〉£

「そうしてくれると助かる」
『うん…』
「愛してる、乃愛」
『うちも愛してる。好き。大好き』

溢れる想いが止まらないって言うのはこういう事を言うんだ。どうしたって好き。何があったってきっと嫌いになんてなれない。

『うちは、あんたの事バリすいとーよ』
「…⁉︎」
『博多弁でとっても好きだよって意味なの。うち、小学校の頃ちょっとだけ博多に住んでた時あったから』
「そうなのか…」
『修也はこういう女の子…嫌い？』
「いや、お前らしい」
『え、そう？頑張って修也の前では女の子してるつもりなんだけど…』
「結構モロバレしてるけどな」
『うぅ…やっぱり、素が勝っちゃうんだよね…』
「お前はそれで良い。そのままで」

そのままで良いって言ってくれたのが凄く嬉しい。何も取り繕わなくて良い、そのままの私。

『うん…。好き』
「は…」
『修也のそういう所好き。私、修也が彼氏で良かった』
「褒めても何も出てこないぞ」
『良いの。言いたいだけ。FFHI、頑張ってよ？これだけ彼女が応援してるんだから。負けたら許さないんだから』
「絶対に…勝つ」
『それが聞きたかった。これ以上お風呂浸かってるとのぼせそうだし、上がろっか』
「そうだな」

明日から始まるFFHIの練習に不安がないわけじゃ無い。でも、彼女として出来ることは精一杯サポートする事。

『お父さんにもチョコ作る予定だったんだけどなぁ…』
「ぐっ…」
『修也が全部使っちゃったからなぁ』
「うっ…」
『お願い聞いてくれれば許してあげない事も無いんだけどなぁ』
「仕方ない…か」
『宜しい』

お願い、なんて大層なもの言うつもりじゃないんだけど。

『頭…撫でて…？』
「それだけで良いのか？」
『うん！』

温かい手でポンポンと優しく撫でられた。本当は、こう言う事して欲しいけど…恥ずかしいからあんまり言いたくない。

『えへへ…』
「夕香みたいだな」
『え…妹っぽい？』
「いいや、夕香もこうしてやると喜んでくれるんだ。お前も夕香と同じ様な顔をしている」
『それはね。好きな人だからだよ。だからこんなあったかい気持ちになるの』

笑い掛けると、いつもの様にフッと笑って返してくれた。口数は少ない方だけど、分かるよ。ちゃんと伝わってる。

『修也。一緒に頑張ろうね。世界を目指して！』

精一杯の笑顔で私は君の隣にいる。だから…負けちゃだめだよ。