第36章 FFHI II〈朝日奈 乃愛〉
「やっぱり、サッカーしてる時の明王君が一番好き。だって凄く楽しそうな顔してるもん」
普段と全然違う様に見えるけど…やっぱり彼女だから分かるもんなのかな。でも、皆活きいきとプレイしているのが分かる。何より一人一人が輝いてる。
「おーっと、此処で前半終了だぁーっ!」
ホイッスルが鳴って、選手達が一斉に戻ってくる。いそいそとタオルとドリンクを渡した。
『皆お疲れ!後半も頑張ってね!』
「ありがとう、乃愛」
『アフロディ、後半良いとこ見せてよ?前半なんか元気なかったじゃん?』
「勿論だよ。見ててくれ」
「お前ら、本当にそれで付き合ってないのか?」
『うん。私もう既に彼氏いるから』
「は⁉︎」
にっこり笑顔で返した。確かにアフロディとも仲が良いとは思う。でもそれ以上に心が繋がっているのは修也しかいない。
『そんじゃ、皆そろそろじゃない?頑張ってね』
「お、おう?」
皆、頑張ってね。ちゃんと応援してるから。
「後半戦の開始だぁーっ!」
後半戦もやる気マックスの皆は、攻めるも100で守るも100の凄い試合だった。流石日本のトップレベル…。
「どうしよう…データが追いつかない…」
『私、チーム1のデータ一応紙に書いてあるからさ。チーム2に専念してみて』
「ありがとう。乃愛ちゃん」
『ううん。どうせ試合中は暇だから!』
「本当ありがとう…!それじゃあお願い」
両者一歩も譲らない、そんな闘い。そのまま、どちらも一点も入れる事なく試合は終了した。
『お疲れ!皆良い感じだったよ!』
「ありがとう。点は決められなかったけど…見ていてくれたかい?」
『うん!ちゃんと良いとこ見てた。アフロディならきっと大丈夫だよ』
皆、頑張ってた。きっと誰もが負けないくらいに一人一人が輝いて。
「乃愛」
『修也。お疲れ!』
「ああ」
『柄にもなく緊張してる?大丈夫だよ。あんなに沢山練習した修也なら』
「そうだな」
「なあ。もしかしてお前が言ってた彼氏ってのは…」
『うん。修也の事だよ』
「何の話だ?」
「いや、最初アフロディと仲が良かったから、付き合ってるのかって聞いたらもう彼氏持ちって聞いてな」
『あはは…』
修也はアフロディって言葉が出た瞬間に怪訝な顔するからなぁ…。まぁ、もう大丈夫だとは思うけど…。
「頑張ってアタックしたからな」
「お前からだったのか⁉︎」