第35章 FFHI I 〈天晶 瑠璃〉

そして、DFからFWへと繋ぐMF。其々が自分の役割を全うしようと全力を尽くしている。何故、この人達が代表に選ばれたのか分かった気がする。

『終わりです！皆さん、お疲れ様でした』
「今日はこれで終わりだ！また明日練習するぞ！」
『星羅ちゃん！早く、片付けよう！』
「う、うん…⁉︎」

ヒロト君には十分に言い聞かせたから大丈夫だと思うけど…やっぱり心配だった。

『星羅ちゃん！また明日！』
「また明日…！」

急いで鞄を持って明電高校へと急いだ。明電高校でやっていたチーム1の方も練習は終わっていたみたい。

『ヒロト君っ…！』
「瑠璃」
『ほぁ〜』
「何もそんなに焦らなくったって…」
「貴様が天晶 瑠璃か」
『え〜っと…涼野 風介君、だっけ？』
「そうだ。私が「はいストップ」まだ何も言っていない！」
『あはは…それじゃあ帰ろうか、ヒロト君』
「ああ。風介は晴矢を待つんだろ？」
「まぁ…何も言わないと心配するらしいからな」

むすっとした顔でそっぽを向いた。何気に二人は仲がよろしいのかもしれない。

「先に帰っているよ、風介」
「ああ」

やっぱり、お日さま園の皆はなんだかんだ言って結構仲良しで、何か見えないもので繋がれている様な気がした。見ていてとても微笑ましい。

『練習、どうだった？』
「いつも通り、普通だよ。大丈夫、無理はしてないから」
『うん、良かった。何か、心配性になっちゃったね、私』
「嬉しいよ。俺が瑠璃にこんなに思われてるって感じる事が出来るから」
『ヒロト君って…』
「？」
『そんな小っ恥ずかしい事、良く言えるね』
「⁉︎」
『冗談だよ。嬉しい。でもほら、見られてるかもしれないでしょ？実際いるみたいだし…』
「⁉︎⁉︎」

ずっと後ろから誰かが覗いてるのは知ってたけど…そんなバレやすい位置に居るなら隠れなきゃ良いのに。

『え〜っと…吹雪君？』
「何か用かな？」
『いや、普通にヒロト君がそういう雰囲気にするから、後ろ歩き辛くなっただけだと思うけど…』
「あはは…実際その通りなんだ。普通に話しかけようかと思ったけど、何か取り込み中だったみたいだから」
『取り込み中…というか、いつもこんな感じだから気にしなくて良いよ』
「瑠璃…」

吹雪君…どんな思いで隠れていたんだろうか。というか、きっとなんとも言えない気持ちだったんだろうけど…。