第34章 Swear!〈綾織 星羅〉£
ーー25日
クリスマス当日。いつも以上に豪華な夕食を食べた。どうやらお父さんは居ないようで、クリスマスにも休みなしなんて本当に忙しいみたい。
「星羅。後で部屋に行くから待っててくれ」
『う、うん』
さぁ、準備開始だ。何だか沢山ドレスとか貰うんだけど、着る機会がなかったもの達…。今日使う事を、許してね。
『んしょっ…と』
クリスマスにぴったりな真っ赤なドレス。髪の毛は緩くハーフアップ。そして仕上げに首に赤いリボンを巻いた。
『大丈夫…だよね』
勝負の時が、やってくる…。
「星羅。いるか」
『うん』
「入るぞ」
カチャッとドアノブが回った瞬間にクラッカーの紐を引っ張った。
『メリークリスマス、有人君!』
「星羅…!」
珍しくゴーグルを外した有人君が中に入ってきた。いきなりドレス姿になったせいか、少し驚いている。
「星羅、その服装は…」
『えへへ…』
「そうだ、お前に渡したい物があったんだ」
『え…?』
渡されたのはラッピングされた袋。ピンクの袋に赤いリボンが巻かれている。
『開けて良い?』
「ああ」
シュルシュルとリボンを解くと、中には真っ白なマフラーが入っていた。
『ありがとう…!』
「いつも寒そうにしていたからな」
『嬉しい…本当ありがとう…』
ふわふわしていてとても暖かそう。それに、何だか…
『天使の羽、みたい…』
「天使にも翼は必要だからな」
『ほえ…』
マフラー=翼だとしたら…。駄目だ。好きな人に都合の良い事言われると本気にしちゃう…。
『だ、駄目だよ有人君。そういう事言われると本気にしちゃうから!』
「本気だ」
近付いてくる顔に無意識に目を瞑った。数秒後に柔らかい感触が唇を包む。
『んっ…』
「愛してる。星羅」
『私も、愛してる。有人君』
そうだ、ホワホワな気分に浸ってる場合じゃない。私も…渡さなきゃ。受け取って貰えると良いんだけど…。でも、自分で決めた事だから。後悔はしない。
『あのね、私からも渡したいのがあって…』
「…!」
凄く緊張する。息を大きく吸った。言うんだ。頑張れ、私…。その為に、私は急いで準備したんだから。
『こんな私でも、貰ってくれますか…?』
「お前…意味を分かって…」
『分かってるよ…?だから、早くリボン解いて、中身確認、して欲しいな…?』
目に炎が灯ったら、開始の合図だ。