第33章 Ring!〈朝日奈 乃愛〉
「…分かった」
二人がサッカーをしている所へお父さんもかけて行った。きっとなれるよ。太陽みたいな家族に。
「お姉ちゃーん!」
笑顔で手を振る。私は、此処から見ていたい。これからこの家族がどう成長していくのか。どんな絆を育んでいくのか。
『大丈夫だよ。きっと…』
時計を見れば、そろそろ良い時間。お弁当の時間だ。
『皆〜!お昼だよ〜!』
修也と二人で作った四人分のお弁当。夕香ちゃんとお父さんの分は修也が、修也と私の分は私が作った。食べ物にだって想いは込もる。
「美味しいね!」
『夕香ちゃんと、お父さんのお弁当は修也が作ったんだよ』
「お兄ちゃん?」
「あ、ああ」
そんな照れなくても…。お父さんも、頑張れ…!
「修也…」
「…はい」
「ありがとう」
「…!はい!」
ほら、こんなにも暖かい。優しい、光が見えた気がした。言葉一つでこんなにも変わる。暖かくなる。
『良かったね。修也』
「ああ」
この家族は変わった。とても暖かい光を放ちながら、変わっていった。きっと、これからも変わっていく。
「あとはお前だ」
『え…?』
「お前も、立派なこの家族の一員だ」
『お父さん…』
「そうだよ!お姉ちゃんも、私達と一緒!」
『…うん!』
そっか…私も、この家族の一員。私も、この中にいて良いんだ…!
「お前のお陰だ」
『いいえ。貴方の勇気の賜物だと私は思います』
「お前のお陰だ。乃愛」
『修也…』
「お姉ちゃん!大好き!」
『夕香ちゃん…!』
夕香ちゃんが抱きついて来た。自分の心まで暖かくなって、抱きしめ返す。なんて暖かいんだろう。
「乃愛」
『ちょ、修也…?』
「ほら!パパも!」
「あ、ああ」
皆、暖かい音がする。鼓動が、聞こえる。皆の鼓動が。お団子みたい。周りに誰も居なくて良かった。
『皆…ありがとう』
「皆で遊ぼっ!」
『荷物…どうしましょうか』
「俺が置いてこよう」
『すみません…』
荷物を置いて来てもらって、サッカーで遊ぶ事にした。やっぱり、エースストライカーなだけあって凄く上手い。
「乃愛…行くぞ…!」
『うん!』
「ファイアトルネード!」
『ダブルドライブ!』
ええええええ⁉︎ノリと勢いで合体必殺技出来ちゃった⁉︎
「お姉ちゃん…!凄い!」
『いや、私も何が何だか…』
「やったな。乃愛」
『私も良く分かってないんだけど…』