第4章 Shoot! 〈天晶 瑠璃〉
「天晶さん?」
『あれ、ヒロト君?』
「何してるの?こんな所で」
『妹達の面倒を見てるの』
驚いたようにヒロト君は公園を見回した。公園は寂れていれど、私達天晶家にはとても楽しい場所だった。
「僕も一緒に良いかな?」
『勿論。寧ろ遊んであげて』
「お姉ちゃん、この人だあれ?」
『私と同じクラスの基山ヒロト君だよ。サッカー好きなんだって』
「サッカー⁉︎私もサッカーやりたい!琥珀も一緒にやろうよ!」
「おう!翡翠もやろうぜ!」
「え、う、うん。あの、瑪瑙姉ちゃんも…」
「うん…ほら、灰簾」
「俺もやる!」
「あ、あんた達…」
『藍も遊んでおいで』
「し、仕方ないな」
渋々という感じを出しつつ、結構嬉しそうだ。ヒロト君も楽しそう。皆、結構楽しそうにサッカーやってる。ここ最近課題で忙しかったな…そういえばあんまり寝てないかも。
「天晶さん」
『わわっ…。ヒロト君か…』
「どうしたんだい?寝不足?」
『うん…。忙しかったからね〜』
楽しそうに皆サッカーやってる。ヒロト君の教え方上手いのかも。
「君も…無理してるのかい?」
『え…?』
「僕もそうだったんだ」
『私は別に無理なんて…』
「君は兄妹が良ければそれで良いと思ってる。そうだろう?」
『…』
「お姉ちゃん!あれやってよ!」
「私も…見たい!」
妹達が言う時はバレエを踊って欲しい時だ。
『良いよ』
立ち上がってベンチから少し離れる。姿勢を整えて、踊り出した。バレエをしてる時が実は一番楽しかったりする。
「…!」
手先までピシッと決めれると少し嬉しい気分になる。曲はないけど、昔踊った事があるのをうろ覚えで踊ってるだけ。踊り終わると妹達達が近付いてきた。
「姉ちゃんすげー!」
「うんうん!綺麗!」
妹達はこれを見せるととても喜んでくれる。そのうち、またサッカーがやりたくなったのか、またサッカーをやり始めた。
「バレエを習っているのかい?」
『ううん。習って”た“の。今はそんな余裕なくてできないよ』
「兄妹達って事かい?」
『面倒を見なきゃいけないって事じゃなくて、お金が足りないから。授業料だって奨学金だし』
そんな風には見えないとばかりに驚いた。でも事実なんだ。金銭的な問題は私一人の力じゃどうにもできないんだ。こればっかりは。
『私のお父さんとお母さんはね、飛行機事故で亡くなったの』