第28章 Drive! 〈豪炎寺 修也〉£
「あ、お風呂沸いた」
『先に入ってこい』
「え、修也も一緒に入ろうよ。折角二人きりなんだし、色んなお話したいなぁ…なんて。…だめ?」
薄く頬を赤に染めながら聞いてくる彼女に反対なんて出来るはずもなく。二つ返事で了承した。
「なんか、さっき凄く裸見られたのに、恥ずかしいね」
はにかむ彼女に服を脱ぎながらキスをする。この時間が一番幸せで、その時間を守るのが俺の仕事だと思う。
「私先に入ってるから、私良いって言うまで待っててね」
『ああ』
女子には女子の事情があるのだろう。乃愛の合図があるまで脱衣所で待っていよう。
「良いよー」
シャワーの音が止み、水に浸かる音が聞こえた。風呂場の扉を開けて中に入る。
『先に体洗って良いか?』
「どうぞ〜」
ついでに頭も洗っておいて、今日はもう入らなくて良い様にしよう。
「なんか、進むの早いね。私達」
『それぞれだから別に気にする必要はない』
「そっか…そうだよね」
安心したのか、湯船に頬まで浸かってブクブクと泡を吹いて遊んでいる。
「…実はね。四月からずっと修也が好きだったの。新入生歓迎会の日からずっと」
まさかの一日違いの思いを自覚した日。互いに両想いならもっと前に告白してしまえば良かった。保険をかけるのに時間をかけ過ぎてしまった。
『俺はその一日前だな』
「…は、え?豪炎寺の方が先だったの⁉︎」
『俺の場合はお前に一目惚れした。だから毎日毎日送っていくのが密かな楽しみだった』
「一日前って豪氷寺とかって話してた日じゃん」
『お前まだ覚えてたのか』
確かに、初めて話して数分で豪氷寺と言われた時はびっくりした。雷門中でもそんな事は言われた事は無かったからだとは思うが。そんな事を話してる内に頭や体を洗い終わった。
「あ、じゃ次私洗う」
『ああ』
横から見ると、かなり胸が大きい。俺の手で包み込んで丁度いいくらいの大きさだ。
「えっち」
『は…』
「見てたでしょ」
そう言って脇から胸を隠す。それでも寄せ上げられた胸が余計に色気を醸し出している。
『見てた』
「うわ、意外と正直」
『それだけ色っぽいって事だ』
「それ、胸だけ見て言ってるでしょ」
『いや、ヤってる時のお前もこの上なく色っぽい』
「…ばか」
こうやって普通に話してると、前に乃愛がアメリカに行ってしまいそうになった時のことを思い出した。