第20章 Hold! 〈朝日奈 乃愛〉
四校時の授業が終わってすぐに来てくれたんだ。
『でも、日本に戻ってくるつもりは無いんだ。もう、家も売っちゃったし』
「朝、人気が無いから驚いた。綾織や天晶から聞いたら今日アメリカに発つと言っていたからな」
『ごめん。本当は嘘吐きたくは無かったの。でも、豪炎寺の顔見たら、豪炎寺の側から離れたくなくなるから…。だから何も…言わなかったのに…!』
「好きだ」
何の脈絡も無く、突如発された言葉。それを受け止めるのに時間がかかった。
『え…?』
「ずっと、好きだった」
『え、あ、う…』
「だから、側に居てくれないか」
『…はい』
そんな事言われたら、はいってしか言えないの、知ってる癖に。
『私も、豪炎寺が好き』
「乃愛」
いきなり名前を呼んでくれると思ってなくて、照れてしまう。ああ、結構人居るのに恥ずかしい。
『豪炎寺』
「名前で呼んでくれないのか?」
『しゅ、修也…』
「及第点だな」
いきなりグイグイ来るから、ペースに飲まれてしまいそう。
「行くぞ」
『ど、どこに⁉︎』
「良いから」
トランクをさり気なく持ってくれるし、なんだか楽しそうな顔してるし、何なんだろう?
『ここって、豪炎寺のマンションでしょ?これからどうするの?』
「お前が前使ってた部屋はそのままだから、そこを使って良い」
『え、良いの?』
「父さんに許可は既に貰ってるからな」
そっか…。なんだか、無理して戻らなきゃいけない様な気もしてたけど、私、ここに居たい。お父さんとお母さんに戻れないってメールを送った。好きな人と両想いになれたから離れたくないってついでに書き加えて。
『修也、大好き』
笑顔でそう言った。その瞬間に迫ってくる豪炎寺の顔に驚きながらも、全部豪炎寺に委ねた。
『んん…』
初キスはレモン味って言うけど、やっぱりデマだなって確信した。レモンの味は流石にしない。
「行くか」
『学校は?』
「一日くらい休んだところで何も言われない」
『それはそうだけど…』
「嫌なら、学校に戻る」
嫌な訳、無いじゃん。そんな事言われたら余計離れたくなくなるんだから。
『ありがとう。私を選んでくれて』
「それを言うのはこっちだ」
私の部屋に入った途端にキスの嵐だった。指を絡めて、段々とディープキスになってくる。修也の絡めていない方の手がゆっくりとツインテールを解いていく。
『んん…』