第19章 Hurt! 〈綾織 星羅〉
「俺は…お前が酷い目に合うのが耐えられない…!」
『それ言われちゃうと、ごめんねってしか言えないなぁ…』
「良いのか⁉︎こんなボロボロになって…!」
『私は大丈夫だよ。リハビリ続けていればちゃんと元通りになるんだから』
「そういう事じゃない…!」
『だって、私はそんな事承知でこの作戦を提案したんだよ。だから、そんなに思い詰めないで』
「俺が、お前を傷付けない作戦を考え付いていたら…!」
ゴーグルを外してボロボロと泣く有人君は、凄く儚く見えた。どうして、そんなに泣くの。貴方が大怪我を負ったわけじゃないのに。
『顔、上げてよ。有人君』
恐る恐る顔を上げた彼の泣き顔はとても綺麗だった。赤い綺麗な目に涙を浮かべて、今にも崩れ落ちてしまいそう。そんな彼の目元にそっとキスをした。
「…!」
『涙、引っ込んだ?』
「あ、ああ…」
『私の為にそんなに泣いてくれてありがとう。でもね、私は本当に大丈夫なの。今は有人君の笑顔を見てたいんだ。ダメかな?』
「…お前には敵わないな」
涙を拭って、有人君は笑顔を見せてくれた。赤色の目はもう潤んではいなかった。
『頑張って治すから、応援してね。有人君』
「ああ」
『今日はもう遅いでしょ?それにお父さんだって心配するよ』
「そうだな。今日はこれで」
『うん』
「また明日来る」
『ありがとう』
有人君はゴーグルを付けて病室から出て行った。一気に静まり返る病室に寂しさを感じながらもゆっくりと目を閉じた。
ーー翌日
目を覚まして起き上がろうとすると、多少痛みを感じながらも何とか起き上がる事が出来た。良かった、これで多少は行動範囲が広がる。
「あら、おはようございます。起き上がれるようになったんですね」
『はい。何とか』
「良かったです。明日からリハビリを始めましょうか」
『はい、お願いします』
「それじゃあ、朝食を運んできますから」
そう言って看護師さんは出て行く。せっかく起き上がれるようになっても、やる事が無くては暇なままだ。何か、やりたいんだけど…。今日日曜日だし誰か来てくれないかなぁ…。誰か来るまで、何か…あ、スマホ…。誰か持ってきてくれたのかな。ホームボタンを押して画面を開いた。あの日以来全然使ってなかったから充電は100%だ。
『あれ…?』
メールが来てる。誰からなんだろう。開いてみると、夏未からのメールだった。