第19章 Hurt! 〈綾織 星羅〉
『…はい』
「二週間、リハビリに専念する事。それと、女の子には辛いかもしれないが、君の身体の数カ所に痣が残ってしまう可能性が高いんだ」
『大丈夫です』
「そうか。とりあえず、今日は休んでくれ」
『はい、ありがとうございます』
医者が出て行った後、すぐに有人君が入ってきた。
「文化祭には出れそうなのか?」
『今日は何日?』
「八月の二十五だ」
『二週間は入院だって』
「ギリギリだな」
『私、頑張ってリハビリやるよ。だって、文化祭楽しみたいんだもん。それに、良かったらだけど有人君と回ってみたい』
「それは構わないが…。あまり無理をしてくれるな」
『うん。善処する』
「そろそろ休んだ方が良いんじゃないか?」
『そうする。…あの、寝るまで一緒に居てくれないかな…?』
「ああ」
隣に有人君が居たからか、すぐに眠りにつく事が出来た。
ーー翌日
「星羅」
「星羅ちゃん」
『乃愛ちゃん、瑠璃ちゃん』
お見舞いに来てくれたのだろうか。でも、まだ身体が痛くて起き上がれそうにない。
「星羅、お見舞いの花持ってきたよ」
『ありがとう。そんなに気を遣わなくても大丈夫なのに…』
「ううん。だって親友だもん。これくらいさせてよ」
「そうだよ」
『そっか、ごめんね、まだ起き上がれなくて』
「大丈夫だよ。早く治りますように」
「うん、文化祭までには治るって聞いたからさ!最初で最期の公開文化祭楽しもうよ!」
『うん、私リハビリ頑張るよ』
「その意気だ!それじゃあ、あんまり長居するとあれだし、私達もうそろそろ帰るね」
『うん、バイバイ』
なんだか、二人が来てくれて元気出た。頑張ろう。早く治して文化祭を楽しみたいんだ。窓から見える星空が綺麗でついそっちばかりを見てしまう。退屈で、外を見るしかやる事がないのだ。
「星羅」
『有人君』
「大丈夫か?」
『大丈夫だよ。まだ起き上がれないけど、頑張るから』
「そうか」
暫くの無言だった。有人君はきっと申し訳ないと思っているのかもしれない。そんな事、鬼道君が思う必要ない。
『有人君が申し訳ないと思う必要は無いんだよ』
「…!」
『だって、来てくれたもん。もっと速く、なんて、過ぎた事考えてもどうしようもないよ。時間は戻って来ない』
「知ってる…知ってるんだ…。そんな事は…」
『でも、人の心は変えられる。私は有人君の苦しんだ顔を見るのが辛いの』