• テキストサイズ

Break! 【イナズマイレブン】

第19章 Hurt! 〈綾織 星羅〉


どうやら心配してくれていたみたいだ。夏休みも明けて、授業も始まっているから、皆私の事を知っているのだろうか。

「星羅」
『有人君』

声の聞こえた方を見ると、有人君が病室に入ってきていた。

『おはよう。有人君。来てくれたんだね』
「ああ、どうせ暇だろうからな」
『本当、何もやる事無くて困ってたの』
「そう思って、一応教科書とノート、それから小説もいくつか持ってきた」
『ありがとう…!助かるよ』
「それから、冷えると思ってこれも買っておいたんだ」
『良いの?』

有人君から受け取ったのは上から羽織るカーディガン。しかも何気ブランドなんだけど…。安いので良いのに。なんだか申し訳ないな。

「ああ。使ってくれ」
『ありがとう。折角来てくれたんだし、何か一緒にできる事あれば良いんだけど…』
「なら今週進んだ分のノートを見せよう」
『やっぱり授業はもう進んでたんだ…』
「だが、テストがあったからな。あまり進んでいない」
『そっか、良かった』
「数学は丁度三角比に入ったところで、数Aも図形の続きだった筈だ」
『予習は一応してたけど、やっぱり結構進むね…』
「進学校だから仕方ないな」

皆どんどん進んでいく。私、置き去りにされてないかな…。

「お前の事は皆心配していた。安心してリハビリに励め」

顔で、分かっちゃうのかな…。やっぱり、一人は寂しいんだ。今迄、ずっと隣には誰かがいて、その度に支えられてきた。改めて思い知らされた。

『なんか、入院中って暇だね。何もやる気にならないし…』
「そういうものだろうな。後二週間の辛抱だ。今度DVDプレイヤーも持ってこよう。暇な時にでも見ていると良い。小説だけだと飽きるだろう」
『もう、本当、何から何までごめんね』
「いや、良い。俺が勝手にやっているだけだ」

本当、優しいなぁ…。有人君と居ると時間はすぐ過ぎてしまう。あっと言う間にお昼の時間だった。

「話しすぎたな」
『有人君大丈夫?何かやる事あるんじゃない?例えば…円堂君達と練習、とか』
「分かっていたか」
『当たり前だよ。サッカーやりたくてうずうずしてる顔してるもん。午後からは円堂君達と練習してきなよ。全国大会も近いし』

そう、私達のチームは地区予選を勝ち上がって、遂に全国大会の地まで来た。この前、全国大会の一回戦が終わって、何とか通過することも出来たので次は準決勝の予定だ。
/ 425ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp