第18章 Hang! 〈天晶 瑠璃〉
ーー翌日
乃愛ちゃんと全身打撲で入院している星羅ちゃんの元へ向かった。鬼道君によると、手術はもう終わったようで今は眠っているらしい。顔にも痣が残っている。こんなにひどい事…。
『星羅ちゃん…』
「痣ができちゃってる…」
『醜状障害が残るって言ってたから…』
「でも、星羅はきっと変わらない。私達がサポートしていこう」
『うん』
星羅ちゃん、自分の身を呈して逮捕に貢献してくれた。痣は残っちゃうかもしれないけど、でも頑張った。ありがとう…星羅ちゃん。
「行こうか」
『うん』
明日はバレエ教室に行って、もう一度レッスンを頼みに行く予定だ。丁度部活も休みだし、行ってこよう。
「瑠璃」
『ヒロト君。星羅ちゃん寝てた』
「そうか」
『早く良くなると良いな。星羅ちゃん、また前みたいに笑っていて欲しいから』
「そう言えば、バレエはどうするの?」
『明日、行ってこようと思ってるんだ。丁度部活も休みだし。もう一度お願いしに行くの』
「そうか。俺も付いて行こうか?」
『ううん。これは自分の事だから、自分でやりたいんだ。だから明日は自分で行くよ。もう襲われる心配も無いしね』
「今日のニュースで捕まったって言ってたしね」
そうだった。あの春川財閥の社長が捕まって、春川財閥は解体。星羅ちゃんや私達に関する脅し等は無くなった。
『はぁ…やっと普通の生活に戻れるよ』
「これで、文化祭も安心して楽しめるね」
『そうだった…文化祭…』
文化祭か…。私達のクラスはお化け屋敷だっけ。
『そうだ、ヒロト君さえ良ければ、一緒に文化祭回ろうよ』
「もちろん。俺も元々そのつもりだったんだけど」
『ありがとう。シフト、一緒の時間にしようね』
「ああ。最初が良いかな」
『だよね。最初に終わらせて後はゆっくりしたいな』
「後夜祭もあるからね」
『花火、一緒に見たいな』
「ああ。せっかく三年に一度の公開文化祭だからね」
『一年でっていうのが勿体ないよね。どうせなら二年か三年の時にやりたかったな』
一年だと経験がないから、スムーズに準備も進めにくい。できれば経験のあるニ、三年次にやりたかったな。
「仕方ないね。こればっかりは」
『お化け屋敷の驚かす側って楽しそうだよね』
「驚かされる側は苦手だからね。瑠璃は」
『うるさい』
「はいはい」
確かに驚かされる側は実際凄く苦手だ。でも驚かす側は楽しそう。