第18章 Hang! 〈天晶 瑠璃〉
警備員が追いかけてくる。でも四人一緒に行動するのは見つかるリスクが高い。二手に分かれるのが妥当だ。
『二手に分かれた方が良いと思う』
「じゃあ、俺と瑠璃。豪炎寺君と朝日奈さんで」
「ああ」
『USBは私が責任を持ってちゃんと持ち帰るから』
「分かった!出口で合流しよう」
二手に分かれて散り散りになった。取り敢えずマップを把握しているヒロト君に付いて行く。此処はどうやらビルの中でも上の階の方で下がらないといけないみたいだ。
『ここまでどうやって来たの…?』
「実はね」
ヒロト君が見せてくれたのは、先が真っ暗な通路。
『これは…?』
「これが一階に続いているらしいんだ。実はこの通路は一定階級以上の人しか知らないみたいでね。普通の警備員は知らない」
『成る程…』
「行くよ、瑠璃」
『うん』
ヒロト君に連れられて、通路をひたすらに走った。暫く走っていると、上下に動くリフトがあった。これで下に降りる事が出来るって事?
「これに乗るんだ」
『うん』
レバーを手前に倒すとリフトは下に向かって動き出した。
『こんなのがあったんだ…』
「警備員は分からないからね。見つかる可能性は低い」
一階に着いたのか、リフトが止まって床も見えた。
「行こう」
そこからはリフトを降りて出口に向かった。一階は警備が手薄だった。まだ上でゴタゴタしてるんだと思う。
「来たな」
『鬼瓦刑事』
鬼瓦刑事と複数人の警察の人が待機していた。
「大丈夫か?」
『はい。USBの確認お願いします』
「任せとけ」
情報確認係の人が情報確認をして、証拠が発見されたと同時に鬼瓦刑事達が乗り込んだ。これで、終わったんだ。
『終わった…?』
「星羅!」
『乃愛ちゃん!』
「良かった…無事だった。星羅の方は鬼道君が保護してくれたけど…全身打撲で直ぐ病院に…」
『そんな…。でも、星羅ちゃんが生きててくれただけで良かった…』
「私達は帰ろう」
『うん』
終わった…。良かった。これで、星羅ちゃんも安心して暮らせるし、私もまたバレエに打ち込める。
「大丈夫、怪我してない?」
『うん、大丈夫だよ。ヒロト君こそ、陽動頑張ってくれてたし、疲れてるでしょ?』
「これもサッカーの特訓だと思えば、なんて事無いよ」
『そう言うと思った』
これで、元に戻ったんだ。やっと普通の高校生活が送れるんだ。