第18章 Hang! 〈天晶 瑠璃〉
『分かった。私達はまっすぐ情報室に向かうから、そこまでの行き方を教えてほしいの』
「まずはそこを出て右に曲がってまっすぐ行くと階段がある。その階段を登って左に進んだ三番目の部屋が情報室だ」
『了解』
警戒して監禁室の扉を開けた。本当に誰も居ないみたい…。本当に静かだ。此処には監視は居ないみたい。
「行こう、瑠璃」
『まずは右にまっすぐ向かうんだって。あんまり足音を立てないように気をつけて』
「分かった。それなら靴脱いでった方が良いんじゃない?」
『確かに。あと、監視カメラにも気を付けて』
「おっけー。それじゃあ、行こう…」
恐る恐る一歩を踏み出し階段を目指して歩いた。丁度階段まで来たあたりで複数の靴の音がした。
「誰か来た…!」
『そこに隠れよう…』
階段の下の段ボールが積まれている影に隠れた。
「見つけたか」
「いや、まだだ。しかも監禁室の奴らも逃げ出したみたいだぞ」
「まだそう遠くには行ってないだろう。階段を塞げ」
「了解」
嘘…階段を封鎖されたら上に行けないよ…。それにもうバレてるなんて。
「瑠璃、どうする?」
『ヒロト君達に動いて貰うしか無いね。ヒロト君、聞こえてる…?』
「ああ、どうかしたのかい?」
『階段を封鎖されちゃって、上に上がれないの。何とか警備を動かしてくれないかな』
「了解。少し待ってて」
暫くすると、待てー!という言葉とともに階段から足音が遠ざかった。今の内に行こう…!
『ありがとう、ヒロト君』
「大丈夫だよ。情報室の警備もついでに動かしておいたから、今の内に…」
『分かった。行こう、乃愛ちゃん』
「うん」
足音に警戒して階段を登った。この階はまだ足音が響いている。見つからないように行かないと。まぁ、情報室があるし警備が沢山いるのも頷ける。
「足音、結構聞こえるね」
『うん。なるべく早く情報室に向かおう』
足早に情報室に入った。警備を動かしてくれたから警備はまだ補給されていない。今がチャンスだ。中に入って鍵を閉めた。
「これ…」
『うん、間違いなくこれだよ。こんなに情報が…。早くUSBを差し込まないと』
「私、つっかえ棒になる様なもの持ってくる」
『お願い』
ずっと絶え間なく動いていると思われる重要データの入っているであろうパソコンにUSBを差し込んだ。重要なものをいくつも持っているだけあって時間がかかりそう。