第18章 Hang! 〈天晶 瑠璃〉
いよいよ、作戦当日になった。今日は、星羅ちゃんと一緒に捕まる日。実は天才ハッカーちゃんからあるものを受け取っていた。それは、パソコンに刺しただけでパソコンのデータを丸コピしてくれる優れもののUSB。
「ごめんね、巻き込んじゃって」
「友達なら協力するのは当たり前。それに、星羅には笑顔でいて欲しいし」
『そうだよ。頑張ろう』
「うん」
まずは星羅ちゃん曰く、相手の会社の前を何も知らないふりして三人で歩く。相手に見つけられた後、尾行されると考えて、逃げるフリをして三人同時に捕まる。まずはここまで。
「行こう…」
『うん』
「星羅、後ろから付いてきてる」
『少し、速足で歩いてみる?』
「いや、まだ気付いてないフリをした方が良い」
完全に怪しい男が二人付いてきているけど、知らないフリをして談笑した。こっちが油断していると思って一気に距離を詰めてきた。すると、いきなり後ろから何かを嗅がせられて、意識が途絶えた。星羅ちゃん…頑張って…。
ーー数時間後
「起きて…起きて…瑠璃…!」
『んぅ…乃愛ちゃん?』
「やっぱり、星羅の練った作戦通りだ…!本当に私達二人になってる」
『USBは…ある…。マイクも多分繋がってるよね…。聞こえてる…?ヒロト君』
「ああ、大丈夫。今ハッキングして開けて貰ってるところだから安心してくれ」
監視カメラは無い。盗聴器も見当たらない。本当に何も無い部屋…。
「まだ頭ガンガンしてるんだけど…」
『よっぽど強いの嗅がされたのかも』
「でも、私達が弱気になってる場合じゃない。こうしてる間にも星羅は…」
『今は同情する事が必要な訳じゃないよ。ここを出て、出来る事を考えなきゃ』
「先ずは一番最初に情報室に行くのが最適だと思う」
「もしもし、聞こえるかい?瑠璃」
『ヒロト君、聞こえるよ』
「今から僕達が潜入する。そろそろ鍵が開くから準備しておいて」
『分かった。乃愛ちゃん、そろそろヒロト君達が陽動に出るから、準備してほしいって』
「了解」
何の音も無かった部屋にピッと言う音がした。もしかして、鍵が開いた…?
『行こう…乃愛ちゃん』
「うん」
「瑠璃、聞いてくれ。俺達が入った事によって、今はその監禁室の前に監視はいない。今の内に抜けてくれ。それから、その一階上の今いる辺りに情報室がある事が確認された。そこに向かってほしい。俺達も出来る限り合流する」