第16章 Freeze! 〈天晶 瑠璃〉
学校に着いてから教室に行くと、何人かは教室に来ていた。
『やっほー』
「やあ」
「お二人とも、相変わらずアツいねー。そうだ、サッカーの試合、勝ったんだってね。おめでとう」
「ありがとう」
『私達、何かやる事無いかな』
「それじゃあ、級旗の製作お願いして良いかな。ここに塗り方の紙置いとくからさ」
「分かった」
『それじゃあやろうか、ヒロト君』
畳んであった旗を取り出して、下書きしてある通りに塗る事にした。
「俺、こういうの苦手かも」
『大丈夫だよ、取り敢えず紙の通りに塗れば、文句は言われないから』
「それはそうだろうけど、小さい時もずっとボール蹴ってたからね。美術系苦手なんだ」
『ヒロト君、芸術選択、音楽だっけ?』
「一番手を使わなさそうなのにしたんだ」
『それ、あんまりにも考え浅はかなんじゃ…』
「だって、考えてみてよ。美術は筆を使うし、書道も筆を使うから」
『うーん。それはそうだけど…』
足の癖が強いって言うのは分かるけど、何もそこまで…。あれ、もしかしてだけど、ヒロト君絵が凄く下手なんじゃ…。
『あのさ、もしかしてヒロト君、絵が下手なんじゃない?』
「うっ…」
『やっぱり。それでもって、字もそんなに綺麗じゃ無いよね』
「それは…」
『そんな事だろうと思った。ヒロト君、字は綺麗そうだけど、そうでも無いもんね』
「言い様が酷い…」
そう、ヒロト君には実は難点があるのです。顔良し、頭良し、性格良しと言うスリーコンボを叩き出している彼ですが、実は字が下手。ノート見せてもらっても、ああ、男の子の字だってなる感じ。そして、恐らく絵も下手。ただ、歌はとても上手い。
「瑠璃は美術だよね」
『そうだよ。絵描くのが好きで』
「そんな感じがするよ」
なんだか、話をしててヒロト君の画力が心配になってきたから、取り敢えず作戦を実行しよう。
『ヒロト君。私、これから輪郭なぞるから、その中だけをベタ塗りする事だけを考えて。取り敢えず、はみ出さない事を意識してね』
「わかった」
『あと、隣合った所はなるべく時間を置いてから塗る事。絵の具混ざっちゃうと後でやり直さなきゃいけないから』
「…うん」
心配だなぁ。なんか筆を持つ手がプルプルしてるんだけど。本当に大丈夫?
『あ、あの、そんなに緊張しなくても大丈夫だと思うんだけど…』
「い、いや、緊張はしてないけど…」